【Review】Hit'N'Mix「RipX: DAW PRO」レビュー(最先端のステム分離機能を搭載した史上初のAI DAWソフトウェア・機能と使い方・評価・セール情報)

【Review】Hit'N'Mix「RipX: DAW PRO」レビュー(最先端のステム分離機能を搭載した史上初のAI DAWソフトウェア・機能と使い方・評価・セール情報)

メーカーによる製品の一次情報

RipX DAW PRO には RipX DAW のすべての機能が備わっており、さらに高度なステム クリーンアップおよびオーディオ操作ツールがワークフローに追加されるため、最高品質の抽出オーディオを作成し、これまでにない詳細レベルでサウンドを微調整/作成できます。

RipX DAW PRO には、以下の機能などが追加されています。

受賞歴のある Audioshop®ツールで、録音を素早く簡単に修正、クリーンアップできます。
ピッチのある音とは別にノイズを除去する無音程オーディオエディタ
究極のサウンド編集を実現する強力でユニークなハーモニックエディター
独自のツールを構築およびカスタマイズするためのRipScript スクリプト言語

強力で使いやすいクリック アンド ドラッグ インターフェイスで、ノート、倍音、無音に対するこれまでにないコントロールを体験してください。

Audioshop® サウンド操作ツール
エレクトロニックミュージシャン
「オーディオ界のフォトショップと考えてもいいでしょう。」
エレクトロニックミュージシャン


強力かつ迅速にピッチを調整し、タイムストレッチし、音符、歯擦音、無音を個別またはグループでコピーして貼り付けます。

無音程音編集ツールは、リップの上から下まで全体に広がるすべての無音程音を表示します。クリックしてドラッグし、無音程音の領域を選択して編集します。

サウンド描画ツールを使用して、リップ上にノート、ドラム、サンプルを描画します。

分割ツールを使用して、ノートをセクションに分割し、さらに編集します。

結合ツールを使用すると、ノートを 1 つにまとめて編集することができます。

クローン ツールを使用して、ピッチの変化 (例: ビブラート)、サウンド (音量による音色)、ある音符から別の音符へのパンニングなどの特性をクローンし、たとえば実際の楽器奏者の演奏スタイルを複製します。

ピッチ描画ツールを使用すると、クリックしてドラッグするだけで、ピッチの微調整やスライドを行うことができます。

パターン適用ツールを使用して、音符にピッチ、フォルマント、音量、パンニングの変動を追加します。

スムーズ領域ツールを使用して、ノートのピッチ、フォルマント、音色、音量、ステレオ パンニングを、クリックしてドラッグすることでブレンドします。
ハーモニックエディター

これは基本的なスペクトル エディターではありません。これらは音符の音を表す実際の倍音であり、Harmonic Editor を使用すると、それらを完全に制御できます。

ノイズを除去し、音色を調整し、興味深い新しいサウンドを作成するのに最適です。

オーディオのクリーニングと修復

「雑音の多い背景から会話を復元するためのファーストコールツール」
チャールズ・メインズ -エミー賞とゴールデンリール賞を複数回受賞


バックグラウンド ノイズを除去し、フォアグラウンド アーティファクトを制限し、トーンやハムを低減し、ピッチのあるサウンドとピッチのないサウンドを浄化するライブ オーディオ修復およびクリーンアップ機能。

ノート内の倍音レベルを調整し、基本倍音を再生成して、ミキシングとマスタリング中に失われたボーカルや楽器の低音の存在感を取り戻します。

その他詳しい製品内容は製品ページも併せて確認してみてください。

機能と使い方

Hit'N'Mix「RipX: DAW 」および上位版の「RipX: DAW PRO」の2つのグレードがあるRipX: DAW。RipX: シリーズの最新版ということになります。形式としてはプラグインではなくソフトウェアです。メーカーの製品情報だけで把握するには少し製品の全貌が見えにくいと思うので簡潔に要約すると、オーディオを解析し、パートごとにステムを分離し、レイヤーに分け、それぞれを編集可能なMIDIノートの形式に変換するオーディオソフトウェアです。DAWというタイトル名はやや説明が必要かもしれません。基本的にいじることが出来るのはオーディオファイルであり、内蔵の音源をもとにMIDIノートを追加してパートを追加することができたりとDAW風なところもあり、オーディオをMIDIデータのように編集することはできますが、根本にあるのはオーディオ編集です。レイヤーはありますがマルチトラック編集でいじるタイプでもないのでDAWというよりはオーディオ編集ソフトに近いです。しかし、そうはいうもののオーディオ編集ソフトの枠を超えたオーディオデータの追加や音色の変更などもできるのでうまく形容するのが難しいところでもあります。
機能が無数にあるので全てを記載することは難しいかもしれませんがまず簡単なおおまかな操作の流れから。まずはオーディオを解析させます。ステム分離のオプション(ギターとピアノ、ボーカル、パーカッションなどオーディオの情報にチェックを入れます)を選択して解析します。オーディオによっては意外に時間がかかり複雑な2mixのデータだと3:00程度のオーディオでも9分ほど時間がかかったりします。シンプルなものはそうかかりません。解析後、自動的にパートごとに分離されてレイヤー分けされます。Photoshopを使用している方であればよりわかりやすいと思います。要はレイヤーごとの処理や全体の処理など層を選択できるわけですね。同時にオーディオデータはピアノロールにMIDIノートのように表示されてそれらのノートを操作することが出来ます。ピッチを変えたりなど。ここら辺はMelodyneになれている方ならわかりやすいかと思います

つまりオーディオデータをMIDIのスケールのピッチに変換して、自由にノートを移動したり、音高を変更したりできるわけです。これが非常に面白いところで2ミックスのデータの中の特定の音価をいじって短くしたり長くすることまで(!)出来るわけですね。技術的な話をするならばこの技術自体はiZotopeのRX Spectral Repairにも似たような技術によるものだと考えられますが、これがMIDIノートベースでできるとなると大分印象が違いますね。
本来鳴っていないはずの音を引き延ばせてしまうわけです。もちろん過度な操作ではアーティファクトなどが生じますが、シンセサウンドとしてみると従来のオーディオ操作の枠を超えた創作のフェーズまで足を踏み入れてしまうわけです。基本はピアノロール画面で編集するソフトウェアです。



そしてここがこのソフトウェアの面白いところだと思うのですが、選択したノートに対してのみ右に表示されたエフェクト処理をかけることが出来ます。ビブラートといった基本的なものからピッチをスケールに合わせたり、リバーブなどのエフェクトをかけたり、クオンタイズしたり。複数のオーディオをレイヤー化することもできるのでオーディオの引き算ではなく足し算ができるのは従来のオーディオ編集ソフトとは一味違うところ。一つのオーディオデータに追加のオーディオファイルをドラッグ&ドロップすることができるのは革新的だと思いますね。リージョンになっているのでつかんで動かせるだけでなく、おまけにピアノロールでそれぞれのMIDIノートをいじることもできます。この操作性は良いの一言。



ちなみにピアノロールではなくオーディオのスペクトラム表示で操作することも可能。
MIDIノートだと掴みにくいアトーナルなパート等はスペクトラム表示で対象にしたい周波数帯域を掴み処理することができるなどオーディオソフトとしても抜かりがありません。


オーディオリペアだけでなくリバースエフェクトなどのクリエイティブな加工もできるようになっているので積極的にオーディオをいじることが出来ます。








評価

現状ステム分離系のオーディオ編集ソフトウェアの中では唯一無二だと思います。他の製品では代替えの効かない独自の操作ができるのはやはり突き抜けているように感じます。とはいうもののそれぞれの機能や側面を分析的にみると全てにおいて一強というわけでないとも同時に思います。
まずステム分離に関してはiZotopeRX 他のソフトウェア同様制約や限界を感じます。オーディオの種類に応じたアルゴリズムを採用しているのかベースやドラムは比較的綺麗に分けられることもありますが、楽器ごとの分離精度は若干甘いところがやはり感じます。(RX10と比較するとドラムに限って言えばあちらの方が精度が高そうにみえます。複数比較しているわけでないので雑感ですが。また、見つけられていないだけかもしれませんが分離能の感度などの調整は出来ないようにも思えます。)そうはいうもののRXなどにはない利点もあり、分離できる楽器パートが決まっているわけではないので、他のソフトには出来ない楽器の分離が出来る可能性もあります。いずれにしてもステム分離機能だけで採用するのは他のソフトでも同様ですがまだまだ数年先になりそうです。一方で筆者が大いに評価したいのはクリエイティブな創作やオーディオのサウンドデザインに使えるというところだと思います。解析したオーディオの特定のパートの楽器を変えたりすることができるというのは面白いところだと思います。
複数のオーディオを組み合わせて不要な部分だけ消して組み合わせるといった他のオーディオ編集ソフトでは難しいオーディオの操作ができるところは可能性を感じます。操作性も悪くないと思います。
ウィークポイントとしては現状複数のエフェクト処理をした後再生すると動作にやや重さを感じるところでしょうか。改善を期待したいところです。基本的にピアノロールの操作が多いのでそこは軽快な方が良いですね。総じて可能性を感じるソフトではあるので今後のさらなる機能追加や改善も楽しみです。



セール情報

セール頻度は多くはありません。20%OFFあたりを推移することが多い印象です。