【Review】Universal Audio「Ampex® ATR-102 Mastering Tape Recorder」レビュー(テープエミュレーションプラグイン・機能と使い方・評価・セール情報)





製品概要


Ampex® tape machineでマスタリングされるまではレコードとは言えません。

UAD Ampex ATR-102 Mastering Tape Recorder プラグインとLUNA エクステンションは、あなたの音楽に最終的な“アナログの輝き”を提供し、あなたのレコーディングの作品をレベルアップさせます。ATR-102プラグインは、Ampex Corporationによって許諾を得て、世界中のプラチナセールスを果たしたプロフェッショナルから信頼されており、この業界標準のAmpexマシン独特なダイナミクス、カラフルな周波数レスポンス、テープサチュレーションを忠実に再現しています。
  • これまでに製造されたもっとも人気のあるプロフェッショナル2トラックテープマシンで、ミックスにアナログの輝きを追加します
  • クラシックなAmpexテープのサチュレーション、選択可能なテープタイプ、カラーを使い、ミックスにまとまりを与えることができます
  • トランス、アンプ、リプロ、シンク、入力パスを含むATR-102回路全体を通してオーディオを処理します
  • ATR-102 LUNA Extensionを使用して、アナログテープを多用したリッチなマスターレコーディングが作成可能になります


今まででもっとも人気のあるプロフェッショナル2トラック
ATR-102は、そのまとまりのあるサウンド、パンチ、微妙なテープサチュレーションとカラーを提供する能力により、1976年以来、世界中の主要なレコーディングおよびマスタリングスタジオで愛用されています。

ATR-102 Mastering Tape RecorderプラグインとLUNAエクステンションは、オリジナルハードウェアが持つ独特なダイナミクス、周波数レスポンス、サチュレーションキャラクターを忠実に再現しています。Ampex社によって入念に精査され、許諾を受けたUAD ATR-102プラグインのサウンドは、アナログの実機とほとんど区別がつきません。

LUNAレコーディングシステムに完全に統合
LUNAレコーディングシステムを使用すると、Ampex ATR-102をLUNAエクステンションとして使用できます。これは、別のプラグインウィンドウを管理する必要なく、ミキサー内に組み込まれています。これにより、LUNAのマスターフェーダーとバスに、オリジナルのマシンの本格的なダイナミクス、周波数レスポンス、およびサチュレーションキャラクターを備えた、アルバム制作対応のリッチなAmpexテープのトーンが提供されます。


本物のキャリブレーションコントロールとテープタイプの選択
ATR-102ハードウェアと同様に、プラグインを使用すると、さまざまな信号パス(インプット、シンク、リプロ)、さまざまなテープスピード/エンハンスEQ(NAB、CCIR、AES)、およびテープ形式(GP9、456、900、 250)の組み合わせを選択することができます(家庭用/コンシューマー用テープも含む)。また、調整可能なテープディレイ機能を使用して、ボーカルやギターなどのオートダブルトラッキング・エフェクトを使用することもできます。

グラミー賞受賞者によるプリセット
長年ATR-102の愛用者であるChuck Ainlay (Chris Botti、Mark Knopfler) Richard Dodd (Wilco、Robert Plant)、Buddy Miller (Martina McBride、Emmylou Harris)、Mike Poole (Keith Urban、Dolly Parton)などのプリセットを使って、インスピレーションを得ましょう。これらのプリセットを出発点として使用し、ミックスに味付けをしてみましょう。Ampex tape machineでしか得られない、まとまりのあるリッチかなサウンドに驚くことでしょう。



その他詳しい製品内容は製品ページも確認してみてください。

機能と使い方


Universal Audio「Ampex® ATR-102 Mastering Tape Recorder」は、1976年以来、世界中の主要なレコーディングおよびマスタリングスタジオで愛用されている人気の高い2トラックテープマシンです。


まず中央の追加機能のボタンを表示させるためにクローズからオープンにスイッチを切り替えると画面中央に追加の機能が表示されます。メータは内部レベル =-12dBFSを基準に動作するようになっています。
少しわかりにくいかもしれませんがREPRODUCE(出力)はアウトプット。RECORDはテープ回路への入力信号レベル。また実機と同様に上げるとハーモニクスによる飽和感や色味が加わります。その他の詳しい機能についてみてみると、

エンファシスEQ

“NAB” または “CCIR” ボタンは、ターゲットとなるエンファシスEQとハムノイズの周波数を決定します。NAB カーブと CCIR カーブは、テープスピードが7.5IPS、または15IPSいずれかの場合に選択できます。テープスピードが30IPSに設定されている場合、実機ではEQが AES カーブで固定されているため、NAB / CCIR いずれの設定も無効になります。テープスピードが3.75 IPSの場合は、(実機の通り)NAB カーブが適用されます。


NAB(一般的な米国標準)に設定すると、ハムノイズの周波数は 60 Hz になります。CCIR(ヨーロッパなどの標準)に設定すると、ハムノイズの周波数は 50 Hz になります。


CCIR

CCIR(IEC1 とも呼ばれる)は、イギリスのレコードによって広く知られるようになったEQ。所謂ブリティッシュサウンドの典型ともいえます。Ampex ATR-102 で30IPSに設定した場合、このEQが適用されます。



画面中央の数字はテープスピード(30 / 15 / 7.5 / 3.75)を表しています。テープスピードによって磁気テープで生じる低域成分の周波数シフトが生じるのがポイントです。

15IPSは、低域のヘッドバンプとあたたかみのあるサウンドを特徴とし、ロックやアコースティックな音楽に向いているとされます。30IPSは、低いノイズフロア、高い忠実性、そしてフラットなレスポンスが特徴で、クラシックやジャズなどに向いているでしょう。7.5IPSと3.75IPSの設定では、周波数シフトやその他のアーティファクトが大きくなり、いわゆる「テープ感」が際立たってきます。

また、画面左のセレクターでテープの種類を選択することができます。Ampex ATR-102 Master Tape LUNA エクステンションでは、7種類の磁気テープがモデリングされています。利用可能なテープフォーミュラとデフォルト値は、現在のテープスピードとヘッドの設定によって決まります。微妙な音質変化、歪み、テープの圧縮特性といった違いがあるのでいろいろと試してみることができます。一般的に、キャリブレーションレベルが低いほど、サチュレーションやディストーションに達するまでに必要な信号レベルは高くなります。

CALはキャリブレーションレベルは、テープキャリブレーション/フラックスレベルを設定することができます。キャリブレーションレベルを選択するには、“CAL” ボタンをクリックして切り替えるか、値を直接クリックします。アクティブなキャリブレーションレベルは黄色でハイライトされます。初期値は、+6dBです。


キャリブレーションレベルの設定は、このプラグインの動作レベルに影響を与えるため、例えば入力が大き過ぎる場合、キャリブレーションレベルを下げることで “RECORD” の設定を変えずに信号レベルを下げ、テープサチュレーションに影響を与えることができます。また、NOISE”が有効になっている場合、ノイズフロアは、キャリブレーションレベルの設定から影響を受けます。磁気テープが進化するにつれ出力レベルが増加し、相対的なノイズフロアは減少しました。通常、マシンはテープの出力レベルに合わせて調整されますが、ヘッドルームを残す、あるいはクリッピングを防ぐために、不十分なキャリブレーションに留める場合もあります。

ヘッド幅
ヘッド幅は1/4、1/2、1インチが用意されていてます。

AUTO-CAL

Ampex ATR-102 は、テープシステム固有のノンリニア性を補正するために、シンク(レコード)EQ、リプロダクション(プレイバック)EQ、そしてレコードバイアスを調整可能な、個別のキャリブレーションコントロールをが用意されています。
“AUTO-CAL” ボタンをクリックすると、選択されているテープフォーミュラ、テープスピード、エンファシスEQ、ヘッド幅に合わせて、キャリブレーションパラメーター(HF EQ、SHELF EQ、REPRO HF、REPRO LF、BIAS)が自動的にフラットな状態になるよう調整されます。

レコードEQ

レコードEQコントロール(HF EQ、SHELF EQ)は、テープの録音回路のみに適用され、サチュレーションの特性に影響を与えます。テープで記録される前の信号の高域成分に作用し、バイアス調整とシステムのフィルター効果によって失われた高域成分を補正します。

バイアス

録音信号のバイアス量を調整します。バイアスを上げると所謂テープコンプレッションとしてよく使われる手法で、飽和をより顕著にする一方、下げるとオーディオが途切れ途切れになるような歪みやその他のノンリニアな反応を得られます。極端に低い設定では、オーディオが完全にドロップアウトする場合もあります。バイアス電圧、HF / SHELF EQ、エンファシスEQ(CCIR、NAB、AES)はすべて連動し、録音された信号にリニアな特性をもたらします。「フラット」な設定(キャリブレーション済みの状態)は、テープ、テープスピード、エンファシスEQ、ヘッド幅によって決まります。



評価

Universal Audioというと他にもStuder A800 Tape Recorderなど様々なテープエミュレーションがリリースされていますが、それらとも全く異なる(違いが大きくみられる)周波数特性と歪みが得られるプラグインであることは間違いありません。Ampex® ATR-102 Mastering Tape Recorderはどちらかというと通した際のサウンドは非常に自然で、もちろん周波数特性の変化は聞き取ることが出来るかと思いますが、高域から低域までバランスの重視された大きな癖のない飽和した質感が加わります。(簡単な印象としてはStuder A800 Tape Recorderの方がアグレッシブに歪みやテープエフェクトが加わる印象です。逆にOxide Tape Recorder
は金属質でこじんまりとした印象があります。このプラグインの場合でもRecord量を上げることで歪みをより求めることもできますが、どちらかというとノイジーな歪効果を感じさせないくらいに設定する方がこのプラグインを有効に使用することができるかもしれません。)そのため、扱いやすさがあり、汎用性の高いテープエミュレーションと捉えることができます。また、オートゲインなどの機能の他、ディレイなど追加のパラメータコントロール自体も多く用意されているので出来ることが多いものの使いやすさもあるというのもポイント。マスタリングとタイトルがついていることもありますが、その用途で使うかどうかに関わらず、ほとんど完成されたサウンドに対して、微妙な+αの調整を加えたい時にも重宝するプラグインだと思います。