【Review】Waves「Mercury / Diamond / Horizon / Platinum / Gold / Silver」レビュー(バンドルの収録製品の違い・おすすめのバンドル・2024年現在の技術水準で使うに値するプラグインについて・評価・セール情報)



Waves「Mercury / Diamond / Horizon / Platinum / Gold / Silver」レビュー(バンドルの収録製品の違い・おすすめのバンドル・2024年現在の技術水準で使うに値するプラグインについて・評価・セール情報)

WavesのプラグインバンドルMercury / Diamond / Horizon / Platinum / Gold / Silverバンドルは非常に名の知れたプラグインバンドルです。最近は価格も下がってきて大昔に購入した人はその価格差に驚くことも。ここでは2024年のプラグイン業界水準でこれらのプラグインバンドルについて評価していきます。

Wavesバンドルのエディションの違いについて

Wavesは他にもいくつかのバンドルがリリースされていますが、他のバンドルはどちらかというと特定のジャンル、ミキシング用途などに限定されたテーマ別バンドルという性格が強いものが多いです。その中でMercury / Diamond / Horizon / Platinum / Gold / Silverバンドルはより総合的で幅広く収録したバンドルになっています。

まずエディションの違いですが、最上位バンドルMercuryから始まり、 Horizon / Platinum / Gold / Silveに従って収録プラグイン数が少なくなり小型化されていきます。これらのバンドルは上位互換が成立し、上位バンドルはより小さいバンドルのすべての製品を収録しています。しかし、DiamondとHorizenは相互互換の関係で片方に収録されているプラグインがもう片方に収録されていない等、どちらかのバンドルがもう片方のバンドルの製品を全て収録しているというわけではないので注意が必要です。Diamondはどちらかというとダイアログやポストプロダクションを想定したラインナップが多いとのことです。そのため、音楽制作の場合Horizonの方が適している可能性も十分にあるといえます。

Waves「Diamond / Horizon」の収録製品の違い(記載時点でのラインナップを比較)

Diamond /Horizon共通のPlatinumから追加される製品

  • Center
  • L3/L3-LL Multimaximizer
  • OneKnob Filter
  • Q-Clone
  • WLM Plus Loudness Meter

Diamondに含まれていて、Horizonに含まれていないプラグイン

  • Cobalt Saphira
  • NLS Non-Linear Summer
  • X-Clickv
  • X-Crackle
  • X-Hum
  • X-Noise
  • Z-Noise
  • billboard

Horizonに含まれていて、Diamondに含まれていないプラグイン

  • Bass Rider
  • CLA Guitars
  • CLA-2A Compressor / Limiter
  • CLA-3A Compressor / Limiter
  • CLA-76 Compressor / Limiter
  • DeBreath
  • Kramer HLS Channel
  • Kramer Master Tape
  • Kramer PIE Compressor
  • L3-16 Multimaximizer
  • Maserati DRM
  • PuigChild Compressor
  • UM225 / UM226
  • Vocal Rider

また、Mercuryは全部入りバンドルではなく、Clarity VX Proなど一部の製品は収録されていません。また、アップデートにお金がかかるというWUPプランについて一時期ほど情報が錯綜することもなく、最近は少し理解されている方が多くなってきましたが基本的なことをまとめます。通常購入時に1年間のアップデートが付属するWUPは現時点では基本的に勝手にアップデートされて引き落とされるということもなく、アップデートしたいプラグインだけ選択的にアップデートして、支払うことができます。バージョンアップするたびに支払わなくてはいけないというのは誤りで、タイミングは選べます。重要なのは特にマックで顕著ですが、マシンが古いバージョンのプラグインに対応しなくなってアップデートせざるを得ないというケースで、この場合は引き続き使う場合はアップデートがマストになるわけですね。Windowsだと体感さほどアップデートしていなくても起動できる印象があります。


オーディオ プラグインの Platinum コレクションには、ダイナミクス、EQ、リバーブ、ディレイ、ピッチ補正、ローエンドの強化、ステレオ イメージング、マスタリングなど、さまざまな機能が含まれています。

Platinum には Waves Gold のすべてのプラグインが含まれており、さらにクラシックな L2 および L3 リミッター/マキシマイザー、高度なリニアフェーズ コンプレッションや EQ などのプレミアム マスタリング プラグインを追加することで、制作プロセスの次の段階に進みます。

Platinum には、クラシックな R-Vox、PuigTec アナログ モデル EQ、Smack Attack トランジェント シェイパー、ローエンド強化用の LoAir などを含む完全な Renaissance プラグイン シリーズも追加されています。さらに、C4 マルチバンド コンプレッサー、DeEsser、Doubler、H-Delay、MaxxBass、MV2、Vitamin Sonic Enhancer など、数十の人気プラグインも追加されています。

音楽制作、ミキシング、マスタリング用の人気プラグイン
67 個のプラグイン: Waves Gold のすべてのプラグインと 22 個のプラグイン
コンプレッサー、EQ、リバーブ、ディレイ、マスタリングプラグインなど
クラシックなL2とL3リミッターでマスターの音量を最大化
クラシックなWaves Renaissanceシリーズのプラグインすべて
SubmarineとLoAirローエンドプロセッサで低音を強化
アナログモデルにはクラシックなビンテージPuigTec EQが含まれています
Smack Attackでトランジェントを完全に制御

Waves Mercury は、オーディオ業界で最も包括的なバンドルであり、ミキシング、制作、マスタリングの幅広いニーズをカバーします。

人気のボーカル プラグインには、Waves Tune Real-Time、Waves Tune、Waves Harmony、Vocal Rider、Vocal Bender、R-Vox、ボーカル ノイズ リダクションの画期的な Clarity Vx などがあります。アナログ モデルには、CLA-2A、CLA-76、すべての API プラグイン、CLA MixHub、Scheps Omni、Kramer Tape、BB Tubes、PuigTec EQ などがあります。人気の F6 ダイナミック EQ とクラシックな C6 マルチバンド コンプレッサー。すべての Renaissance プラグイン、マスタリング用のすべての L シリーズ プラグイン、すべての H シリーズ プラグイン、さらに数十の追加の音楽制作エフェクト、特殊なミキシング プラグイン、マスタリング プラグインなどがあります。

驚異的な豊富さと幅広さを誇る Mercury は、音楽制作、ミキシング、マスタリング、サウンド デザインなどのための最大かつ最も多様なプラグイン バンドルです。Mercuryには、リモート オーディオ コラボレーション用のWaves Streamサービス (年間 88.88 ドル相当) も含まれています (Mercury バンドルに最新の Waves アップデート プランが含まれている場合)。(Waves アップデート プランは、購入後 1 年間はバンドルに無料で含まれ、その後は更新できます)。

  • 195以上のプラグイン:Waves最大のバンドルが永久ライセンスとして販売されます
  • ボーカルプラグイン、コンプレッサー、EQ、リバーブ、ディレイ、アナログモデルなど
  • あらゆるオーディオニーズに対応するプラグイン: ミキシング、制作、マスタリング、修復、サウンドデザイン
  • 数十年にわたるプロオーディオ業界最大かつ最も包括的なプラグインパッケージ


2024年に選ぶべきWavesバンドルは


では現代水準で選ぶべきバンドルは何でしょうか。筆者の感覚にはなりますがバンドルの収録されている製品のすべてが2024年のプラグインの技術水準に匹敵するとは考えておりません。しかし、現在の水準でも現役なクラシックプラグインがあることも確かでして、筆者の評価としてはWavesバンドルは他のプラグインの守備範囲の穴を補完する役割を果たしていると考えるのが妥当ではないかと考察しています。

Waves「Silver」についての評価


例えばSilverだと以下の16製品が収録されています。


  • C1 Compressor
  • DeEsser
  • Doubler
  • Enigma
  • IR-L Convolution Reverb
  • L1 Ultramaximizer
  • MaxxBass
  • MondoMod
  • PAZ Analyzer
  • Q10 Equalizer
  • Renaissance Axx
  • Renaissance Compressor
  • Renaissance Equalizer
  • S1 Stereo Imager
  • SuperTap
  • TrueVerb
RenaissanceシリーズやL1 Ultramaximizerは一時期人気の高かったプラグインもありますが現代の水準だと代替えとして他のプラグインを使う人がいそうなプラグインがあることも確か。そのため、Gold以上を選ぶ方が良さそうなのは昔の感覚から変わらないかと思います。

Waves「Gold」についての簡単な所見とレビュー


Goldになると収録製品が46製品と途端に膨らみます。


比較的最近のスプリングリバーブMagma Springs、現代だと他の選択肢もありそうですが、一時期一定の人気があり今でも使いやすさと多用途性がそこそこあるVitamin Sonic Enhancerが入ってきます。また、H-Comp Hybrid Compressor、H-Delayは今でも愛用している方をちらほらと見かけるアナログモデリングタイプのプラグインも収録。ギターアンプも収録されています。(筆者はあまり使っておりませんが。)Electric Grand 80 Pianoはそこそこサンプルの容量もあり、なかなか好みの方もおられるのではと予想するエレクトリックピアノ音源です。これらが必要かどうかで判断すると良いと思います。

Magma Springsについてはこちらで詳しく評価しています。

Waves「Platinum」についての簡単な所見とレビュー

Waves「Platinum」になると67製品が収録。Waves公式によると最も人気のバンドルとのこと。Goldとの大きな違いはエンジニアにより設計されたシグニチャーシリーズが追加される点が一つ。
Greg Wells PianoCentricなどワンノブ系の便利プラグインが追加されるようになります。また、L2といった今でも部分的に愛用されているリミッターが収録されるのも重要な違いです。MaxxVolumeなども一部で好まれているプラグインのようですね。Lofi SpaceといったローファイプラグインやPuigTec EQsなどのアナログエミュレーションも収録。L2といった有名なミキシングプラグインがこのバンドルあたりから少しずつふえていきます。現代の感覚だともう一超え行きたいという印象があります。

Waves「Horizen」についての簡単な所見とレビュー


Horizenになるといよいよ本格的なプラグインが増えてくる印象です。アナログプラグインの数が増えます。収録製品は94製品。

Bass Rider, Vocal Riderといったゲインレベルを自動調節するゲインライダープラグインやラウドネスメーターWLM Plus Loudness Meter、L3-16 Multimaximizer、CLA-2A、CLA-76、CLA-3Aといったアナログエミュレーションが追加されていきます。これらのプラグインを他社で代用するならPlatinumどまりでも良いかもしれませんが、Bass Rider, Vocal Riderあたりは選択肢としてあって悪くありません。(ちなみに類似製品のMeldaProduction MAutoVolumeはこれら製品と異なりオートメーションカーブの記録機能がありません。)

Waves「Diamond」についての簡単な所見とレビュー

Diamondは86製品収録。Cobalt Saphira、NLS Non-Linear Summerとノイズリダクション系プラグインがHorizenとの違いになっています。筆者の感覚にはなりますが、収録されているノイズリダクションプラグインは独特なリダクションアルゴリズムを評価する声も少し聞くもののやはり現代の水準だとRXやその他のプラグインなど競合が多く、Horizenの方が魅力的な製品が多い印象があります。そうはいうもののCobalt Saphiraは倍音列のプリセットを選択して、独自の倍音を加えることができるユニークなプラグインで面白みがあります。だだし、それでしたら別途購入という手もあるのではという点が悩ましい。

Waves「Mercury」の評価

195製品収録。スケールが変わりましたね。一方でお値段も跳ね上がります。(定価$7599)
網羅的に収録していますが全製品ではありません。Clarity Vxなどの最新のAIシリーズが初めて収録されてきます。(Clarity Vx DeReverb Proは入っていますがClarity Vx Proは入っていないので注意。)その他APIエミュレーションやScheps Parallel ParticlesなどのSchepsシリーズ、JJPシリーズなどこれまでのバンドルに入っていなかったシグニチャーシリーズがそろってきます。Waves Harmonyなどのボーカルプラグインも充実。Brauer Motionなど飛び道具的な強力なプラグインが入っているのが注目に値すると思います。買うに値するかはまとめで記載します。


まとめ-2024年現在の技術水準からみたWavesプラグインバンドルと使うに値するプラグインについて

さて。まとめましょう。一昔前は高級定番プラグインバンドルとして名をはせていたWaves
プラグイン。現代ではやはり後続の強力なプラグインがあったりもするため使わないなと思うプラグインがバンドルに収録されていることも確かです。しかし、前述のように主要プラグインの手の届かないところをカバーする局所的なプラグインとしてあるのとないのとはだいぶ違うと考えています。Wavesバンドルは網羅性のバランスが良く他社製品にも網羅的なバンドルはありますが、使い勝手や汎用性といった観点からやはりWaves製品が悪くないなと思う場面もあり、そういった役割を果たすのに良いパフォーマンスをしてくれます。特に、Scheps Parallel Particlesなどのシグニチャーシリーズはカスタマイズ済みのアルゴリズムが局所的ながら刺さる場面も多く、場面場面で良い仕事をしてくれることもあると思います。さて、Mercuryについてですがシグニチャーシリーズなどユニークで強力なプラグインが一通りそろっていることもあり、バンドルは単品と比べて割引が良いこともあるので(Mercuryはなかなか割引率がシビアに設定されていることも多いですが)単品よりも安くなることが多いのですが、それらをまとめて入手したいという人でなければ、必要な分だけバラで入手する手もあるため、どちらかというとやや網羅的にそろえたいというコレクター向けかもしれません。(Spherix Immersive Compressor & Limiterというユーザーが限られる製品が入っているというのもそう考える理由です。)Waves公式サイトだと所有数に応じておおまかにカスタマイズされた割引を受けられることも大きく、必要なプラグインがどれくらいあるかを大まかに数えながら選ぶべきだと思いますね。