【Review】Plugin Alliance「Shadow Hills Mastering Compressor」レビュー(Shadow Hills Mastering Compressorをエミュレートした公認のマスタリングコンプレッサープラグイン・機能と使い方・評価・セール情報)
【Review】Plugin Alliance「Shadow Hills Mastering Compressor」レビュー(Shadow Hills Mastering Compressorをエミュレートした公認のマスタリングコンプレッサープラグイン・機能と使い方・評価・セール情報)
製品情報
マスター バス コンプレッションの最高峰。瞬く間に伝説となったハードウェア オリジナルを Brainworx が綿密にモデル化し、最も音楽的で多用途なコンプレッサーの 1 つであるこのデジタル バージョンを製作するために、細部まで手を抜かずに作りました。音楽業界でよく知られている定番の Shadow Hills コンプレッサーは、最も手に負えない混沌としたトランジェントも、完璧なコントロールと素晴らしいトーンで簡単に抑えます。Radiohead、Foo Fighters、Beck、Green Day、Coldplay など、数え切れないほど多くのアーティストの時代を超越したレコードで、このコンプレッサーが頼りにされているのも不思議ではありません。
デュアル コンプレッション セクションによる前例のないダイナミック コントロール
Shadow Hills Mastering Compressor の重要な利点の 1 つは、信号をデュアル ステージ コンプレッションで処理できることです。オプティカル セクションまたはディスクリート セクションのいずれか、または両方のセクションを使用してコンプレッションを調整することで、音楽性を最大限に高めることができます。オプティカル セクションには、LA-2A に見られるような 2 段階のリリース タイムを備えた従来のしきい値とゲイン設定があります。これを使用して、ダイナミック レンジを簡単に形成し、全体のレベルを上げることができます。VCA ディスクリート セクションでは、比率、アタック、リリース設定をより厳密に制御できるため、さまざまな素材に合わせてコンプレッション レスポンスを微調整できます。
切り替え可能な出力トランスフォーマーで
多様なサウンドを実現。3 つの独自の出力トランスフォーマーで、さらに音質を高めることができます。各トランスフォーマーを切り替えて、コンプレッサーの音色バランスを簡単に調整できます。Steel、Nickel、Iron のいずれかを選択すると、伝説的なコンソールによく見られる独特の風味が加わります。Nickel は、滑らかな低音と洗練された高音を提供し、より繊細でまばらな録音に最適です。Iron トランスフォーマーは、より色づけされたサウンドですが、100Hz の範囲でわずかに低音をブーストした状態で、純粋な高音を維持しています。偶数次の高調波歪みのみを適用するクラス A 出力段で動作し、非常に音楽的なサウンドを実現します。最後に、Steel トランスフォーマーは、極めて詳細かつ高速なレスポンスと 40Hz の範囲での微妙なブーストにより、低音を揺さぶる効果をもたらします。
Brainworx プラグインのみの機能
ハードウェアから直接提供される膨大な機能を完成させるために、Brainworx は独自のツールバーにパラレル ミックス コントロール、サイドチェーン フィルター、外部サイドチェーン オプションを追加することでさらに一歩前進しました。サイドチェーン フィルターを使用すると、設定より低い周波数が圧縮をトリガーするのを簡単に防ぐことができ、非常にタイトなサウンドのミックスを実現できます。今すぐ Shadow Hills Mastering Compressor を試して、まったく新しいレベルのダイナミクス管理を体験してください。
特徴
- オリジナルの Shadow Hills Mastering Compressor の正確なエミュレーション。Shadow Hills Industrie の創設者である Peter Reardon によって承認および推奨されています。
- 3 種類の出力トランスフォーマーから選択可能 - ニッケルはトップエンドに美しい輝きを加えます。鉄は中音域に少し特徴を加え、スチールは高調波歪みを追加します。
- 2 段階の圧縮技術用に光学圧縮セクションと個別圧縮セクションを分離します。
- ステレオおよびデュアルモノモード
- BRAINWORX プラグインのみの機能には、パラレル ミックス、組み込みサイドチェーン フィルター、外部サイドチェーンが含まれます。
Shadow Hills Mastering Compressorの機能と使い方
Plugin Alliance「Shadow Hills Mastering Compressor」はShadow Hills Mastering Compressorをエミュレートした公認のマスタリングプラグインコンプレッサーです。Shadow HillsMasteringCompressorの最大の特徴はツーステージコンプレッションと選択可能なトランス回路。
このプラグインの使用用途について実機の特性を踏まえつつ簡単に記載するとボーカルチェイン、マスターフェーダー、ドラムバスなどおおよそマスタリングコンプレッサーの一般的な使用用途と一致します。ちなみに余談ですが、マスタリングに使用する場合はオプティカルゲインリダクションを1dB、ディスクリートゲインリダクションを2dB程度、レシオは1.2:1 を選択し、アタックは30msec、リカバータイムは1secあたりを選択することをメーカーは推奨しています。おおよそ筆者の感覚とも一致する一般的なことではありますが参考までに。
UIを一目見ると複雑な印象を受けるかもしれません。というのもこのコンプレッサーにはオプティカルと続くVCAの2ステージによる2段コンプの形式をとっていて画面上半分と下半分にそれぞれノブが配置されています。また少しわかりにくいのが画面中央に対し、左右対称にノブが配置されているわけですが、右半分の左側とほぼ同様のノブはデュアルモノスイッチによる左右のチャンネルを独立して処理するためのノブでステレオの場合は右側を操作することになります。(これは少しわかりにくい気がします。)そのためノブがそこそこ多く用意されているわけです。(実機によるものですので特にいうこともありませんが色分けされているとわかりやすいですよね。)中央にバイパススイッチやデュアルモノ/ステレオスイッチ、サイドチェーンなどの機能がまとめられています。
オプティカル・ゲインこのコントロールは、コンプレッション後のメイクアップ・ゲイン。ゲインコントロールは、ユニティゲインの周囲では正確さを提供し、その値は“7”周辺です。そしてより極端なセッティングでは粗いコントロールになります。
オプティカル・スレッショルドについて。このコントロールは、インプットレベルに対し圧縮をはじめる値を設定します。コンプレッサーのレシオは2:1で固定となっており、コンプレッションはスレッショルドを下げることによって信号を検知し、作動します。
コンプレッサーの後段にあたるディスクリートセクションはこのマスタリングコンプレッサーの最後のゲインリダクション回路です。オプティカルコンプレッサーのセクションと比べるとパラメータが多く小回りが利くことから汎用性があります。ディスクリート・ゲインはメイクアップ・ゲインということで同様。ディスクリート・スレッショルドこれも通常のコンプレッサー同様なので特にいうことはありません。ディスクリート・レシオは所謂レシオです。ちなみにダイヤルが“Flood”に設定されるとレシオが20:1に設定されます。
ディスクリート・アタックは、スレッショルドに達した後にコンプレッサーがアッテネーションを始めるまでの時間を指定します。
ディスクリート・リカバーは、スレッショルドに達していたコンプレッサーが、コンプレッションを停止する速さを決定します。設定はミリセカンド単位です。
また、重要な機能としてトランス回路の選択スイッチが用意されています。
これは3種類に切替え可能な出力トランスによりトーンカラーをコントロールすることができます。具体的に言うと味付けの方法が異なり周波数特性と歪特性がそれぞれ異なります。
トップ・ポジション – ニッケル
トランスによる歪みが最も少なく、クリーンな特性をもつモードで、超高域に繊細なアクセントを加えます。
ミドル・ポジション – アイアン
クラスAアンプでおなじみのハーモニックディストーションを加え、低域をブーストします。ボトム・ポジション – スチール
低域をタイトにブーストし、最も歪みを得ることが出来るモードです。
参考までにSteelでPlugin Alliance「Shadow Hills Mastering Compressor」(ピンク色)と「Shadow Hills Mastering Compressor Class A」(赤)の周波数特性を比較してみました。
その中でももアイアンモードは割と低域の操作がアグレッシブなので使いどころを見極める必要がありそうです。
比較に関してはこちらの記事で詳細に記述しています。
中央にハードウェアバイパススイッチがあり、これをOutにすることでコンプレサーを作動させずにトランス回路による色付けのみを行うことが出来ます。他のマスタリングコンプレッサーを使用し、このプラグインは通すだけにするといったことが出来るわけですね。
評価
一見するととっつきにくいプラグインに見えるかもしれませんが、まずはステレオで考えて画面右だけみてみると意外にシンプルなプラグインに見えてくるかもしれません。コンプレッサーが2段になっていてそれぞれのゲインリダクションをしっかりメーターで確認できるようになっているのでアナログモデリングプラグインとしてはかなり柔軟にリダクションを追い込み調整できるようになっていると思います。非常に滑らかにうっすらとコンプレッションを加えつつ色付けを行うといった用途にもあっていると思います。割と癖があり、サチュレーションや周波数特性の変化によるキャラクターの付与と変化が大きいプラグインだと思われるので、そういった用途としては好まれる人も多いのではないかと思います。また、オプティカルコンプレッサーのノブが少ない分パラメータ設定のプロセスがそこまで複雑化することもないと思うので、潰しすぎといったことが回避しやすく、しっかりとパラメータをいじって調整できる人にとっては意外に使いやすさがあると思います。プリセットがないのとトランス回路のエミュレーションと3つから選択できるというのがこのプラグインの実は隠れた魅力でもあり、サウンドに癖をつける際にも複数の選択肢から選べるのは良いところだと思います。
セール情報
セール頻度は比較的多いかもしれません。キャンペーンによって割引が比較的変動している印象があるので(20ドル代前半になるとなかなか大きく割引されている印象があります。)定期的にチェックしてみてください。