最強のマルチエフェクトプラグインを探してみる【サウンドに動きを加えるEDMや電子音楽、サウンドデザイン向けのクリエイティブで強力な武器になるマルチエフェクトプラグインの比較】



最強のマルチエフェクトプラグインを探してみる【サウンドに動きを加えるEDMやサウンドデザイン向けのクリエイティブなマルチエフェクトプラグインの比較】

マルチエフェクトプラグインとは非常に幅広いジャンルです。エフェクトカテゴリが複数内蔵されていると(チャンネルストリップに対してはあまり使わないですが)マルチエフェクトプラグインとラベリングされていることも。ここで取り扱うマルチエフェクトプラグインとはサウンドを創作的に加工するFXプラグインです。サウンドにモジュレーションを加えたりDJエフェクトや飛び道具的に使用するプラグイン。(ここではいわゆるミキシングプラグインは含みません。)
ここではまず第一に機能性に注目しながら、世界中からリリースされているマルチエフェクトプラグインを網羅的に俯瞰し、作ることのできるエフェクトの守備範囲が広いプラグイン、革新性、唯一無二の機能(他のプラグインにはない機能など)、操作性等を総合的に判断した上で所謂EDM等の文脈として「強い」プラグインと思われるものをピックアップしていきます。気になる製品が発見できれば幸いです。量が多いので随時更新。

Cableguys Shaper Box 3



LFOモジュレーションを主体にしたエフェクトモジュール形式のマルチエフェクトプラグインです。最大の特徴はLFOカーブを描く柔軟性の高さ。形状記憶等、線を思った通りに描く機能が優れています。ループベースの周期的なエフェクトプログラミングに適しているだけでなく、キースイッチでエフェクトバンクから作ったエフェクトをリアルタイムでトリガー出来るという演奏性も備えています。また、エフェクトは3バンドに独立してことなるエフェクトをプログラムすることが可能。時々新規モジュールが追加されていくことで強化されていっているプラグイン。





Devious Machines Infiltrator 2



驚くべきエフェクト、表現力豊かなコントロール。Infiltrator 2 はあなたの新しい秘密兵器になるかもしれません。Infiltrator 2 は、一度に最大 10 個の異なるエフェクトをスタック、シーケンス、モジュレートできるモンスター マルチ エフェクトです。液体のアナログ フィルタリングであろうと、現実を歪めるような音響変換であろうと、Infiltrator はすべてを指先で操作できます。

  • エフェクト: 精巧にモデリングされたフィルター、ディストーション、スペクトル操作、モジュレーション、ディレイ、リバーブなどを含む 54 のエフェクトから選択します。
  • エンベロープ: 各エフェクトには、主要パラメーターを変調するための、テンポ同期された 2 つのマルチセグメント エンベロープがあります。ランダム パターン、ユークリッド リズムを生成し、スイングとピッチ スナップを適用します。
  • シーケンサー: 10 個のエフェクト モジュールはそれぞれ、オンボード シーケンサーを使用してオン/オフを切り替えることができ、ワイルドなリズミカル パターンを実現します。

Infiltrator 2 には、54 種類の異なるモジュールから選択できる巨大なエフェクト プロセッサー スイートが含まれており、その多くは複数のサブタイプを備えています。幅広いフィルターには、鮮明なデジタル モデルやリキッド アナログ モデルに加え、フォルマント フィルターやコム フィルターなどの難解なタイプも含まれます。12 種類の異なるモデルを備えたざらざらしたディストーション モジュールがあります。ピッチシフト、FM、ディレイ、リバーブ、スペクトル変換など。これらのモジュールはそれぞれ単独でも専用のプラグインに匹敵しますが、Infiltrator の真の力は、さまざまなエフェクトをどのように組み合わせて変調できるかにあります。 
ShaperboxにUI画面が似ている印象を受けるひともいるかもしれません。確かに似ている部分もあります。こちらは54種類のエフェクトから最大10個エフェクトをロードできるという仕様になっており、モジュレーションを描くことが出来ますが、Shaperboxの方がLFOの線描に関するパレットはおおくあります。(あちらが特殊というのもありますが、Infiltrator 2もいくつかの形状選択などのオプションはあります。)エフェクトのバラエティはこちらの方が多いと感じるひともいるかもしれません。リングモジュレーション等も(Shaperboxはボリューム、リバーブ等、根源的で基本エフェクトをいじっていくタイプ。)

また、違いとしてはこちらにはエフェクトシーケンサーが用意されています。

その他違いがいくつもあるのですが、全体的にアグレッシブでDJライクなエフェクトを作るのには特に向いてそうな気がするエフェクトプラグインですね。

Melda Production MXXX


これは反則かもしれませんね。というのもMeldaProductionによるあらゆるエフェクトプラグインをモジュール形式で好きなルーティングによって構築することができるマルチエフェクトプラグイン。まさしくモンスターです。MeldaProductionの製品は単体でも完璧に使いこなすのには多くの時間がかかるように、パラメータコントロールの幅が多くの他社製品と比較しても圧倒的に多い製品が多数あることもあり、MeldaProductionのエフェクト1製品でも使いきれないほどのパラメータがあります。それが70種類以上統合されているということでもはや可能性は無限とも言える汎用性を備えています。一方で製品によってはプリセットが少なかったり、操作が難しいものがあるのも確かなので、玄人向けのチョイスだと思います。




MXXX は究極のエフェクトです。これは、自動ルーティング マトリックス、非常に多用途なモジュレーターなどを備えたシンプルなインターフェイスにすべてのエフェクトが含まれたモジュラー ビーストです。単純なイコライゼーションや圧縮から、最もワイルドでクリエイティブな処理まで、あらゆることを行うことができます。MXXX には、MeldaProduction のハイエンド作品のほぼすべてが含まれています。プロセッサ数は 70 以上です。ご存知のとおり、これらはおそらく市場で最も多用途で優れたサウンドのプロセッサーです。
フランジャー、コンプレッサー、ダイナミックイコライザー、フィルター、ディレイ、リバーブ、コンボリューション、ハーモナイザー、スペクトルダイナミクス...すべて!MPowerSynth も含まれています。 そして今、それらすべてが 1 つのスーパー プラグインの内部にあるので、ついに最も途方もない夢を実現することができます。それともワークフローをスピードアップするだけですか...

Sugar Bytes Looperator


このラインナップのなかでは使いやすさに重きがありややインスタントな印象を受けるかもしれませんが、ループミュージックに対しては非常に手軽に複雑なエフェクトプログラムができるプラグインのひとつ。マルチエフェクトシーケンサーになっていて、トラックにインサートするとエフェクトがかかるようになっています。シーケンスのマスにエフェクトアイコンを置くことでそのタイミングでエフェクトがかかります。スライス、サンプルの反復だけでなくフィルターエンベロープフォルマント、さらにはDJスクラッチやディストーション系も充実してます。そして、エフェクトをパラメータを設定してカスタマイズした独自のエフェクトを配置できるという点はこのプラグインを手軽ながらも奥行きのあるプラグインにしています。プリセットも充実しています。

Baby Audio Transit


このプラグインは静的ミックスを無効にします。Baby Audio は Andrew Huang と協力して、ミックス トランジションにスーパーパワーを与える FX プラグインである Transit を作成しました。ビルドアップ、ドロップ、モーション エフェクト、ライザー、スイープに使用して、リスナーを常に魅了し続けます。
 


このプラグインはEDM等ではおなじみのトランジションエフェクトを作るプラグイン。トランジションエフェクトというと色々な出力タイプがありますが、このプラグインはオーディオにインサートしてオーディオ自体にエフェクトをかけるタイプ。


より良いトランジションを作成する簡単な方法

曲のパート間の創造的なトランジションは、リスナーを惹きつけて興奮させ続ける上で重要な役割を果たします。こうした移行を行うために、プロデューサーは複数のトラックとプラグイン、そして息が詰まるほどの量のオートメーション レーンに依存しています。 

Transit は、このプロセスを 1 つのプラグインのみに簡素化します。18 個の強力なエフェクト モジュールをホストし、7 つのスロットに自由にロードできます。すべてのエフェクト パラメータはグローバル マクロ コントロールにリンクでき、これを自動化してノブ 1 つで複雑な FX トランジションを作成できます。その結果、より魅力的で、静的なミックスが少なくなります。

エフェクトラック形式になっており、モジュールを好きなように配置できます。ディストーションからOTT、シンセオシレータ等、モジュールという性格上限定的ではありますが、数が充実しているだけでなく、パラメータも過不足なくありますので、割と制限を感じないはずです。その性質上無限の機能と柔軟性があるというわけではないですが、インスタントプラグインにはない選択肢の多さがあり使いやすいですが、使い込むことができるプラグインです。また、トランジションの何小節目から始まるといった開始と終わりのタイミングをMix量のコントロールでプログラム出来るだけでなく、マクロとしての機能も備えているため、それぞれのモジュールのパラメータを連動させて時間軸に沿って動かすことが出来るという点も、このプラグインが複雑なエフェクトが簡単に作れる要因になっています。アーティストコラボレーションということで機能が豊富でありながらも、実用性に富んだ総合的な完成度の高いプラグイン。



StageCraft Software「Scratch Track」



スクラッチ トラックは、レコーディング プロジェクトにスクラッチを追加する方法を提供するように設計されています。このプラグインを使用して、サンプル、ループ、トラック、またはライブ入力をスクラッチできます。これは、ライブ スクラッチを提供し、あらゆるタイプのタイムコード化されたヴァイナル、コントロール用の MIDI 学習、オートメーション、およびプログラム可能なクロスフェードをサポートする唯一のソフトウェアです。スクラッチ トラックは、DAW やオーディオ プラグイン ホストでタイムコード化されたヴァイナルを使用するための最も安価で、最もシンプルで、最も汎用性の高い方法です。そのため、このプラグインはレコーディング プロジェクトにスクラッチを追加する最も簡単な方法になります。

強力かどうかはひとまずおいといて番外編としてユニークなプラグイン。これはDAW上でDJのスクラッチを行うことが出来るプラグイン。オートメーションとして記録できるので、DAW上のオーディオデータをそのままDJプレイしたものをDAW上で記録できるわけですね。エフェクトも搭載。それ以上のものではありませんが、選択肢のひとつとして便利なツールだと思います。




Polyverse Supermodal




Supermodal の中心には、連携して動作する 2 つの強力なフィルター セクションがあります。Supermodal のインターフェイスの左側には、「タイプ」コントロールを使用してローパス、バンドパス、およびハイパス フィルター モードの間でスムーズにモーフィングできるゼロフィードバック状態変数フィルターであるクラシック フィルターが表示されます。オクターブあたり 24 db の固定スロープを備え、多くのよく知られたアナログ フィルターを呼び起こし、内蔵のサチュレーション アルゴリズムとユーザーが操作できる入出力コントロールを利用して、甘いフィルター サウンドと分厚いフィルター サウンドの両方を実現できます。太くて音楽的なサウンドを実現します。


フィルターとモーダルフィルターの2つが搭載された特殊なフィルタープラグイン。モーダルフィルターとはピアノやガラス、鉄等、様々な素材の共鳴をエミュレートして、サウンドにその質感を加えることが出来る特殊なフィルターです。フォルマントフィルターももちろんあります。画面右のモーダルフィルターで素材を選択するのですが、XYのパラメータによって座標のようにフィルターをモーフできるようになっています。モジュレーションによってホイールをうごかすように素材をモーフあるいは移り変わるように変えることができる点が他のプラグインにはないユニークな機能。モジュレ―ション機能が大変充実しているので、サウンドを金属からガラスにといったように独特なサウンドに変えることが出来るという使い方次第では可能性が無限です。ピッチにモジュレーションを割り当てることでサイケデリックな効果を生むこともできます。


Supermodal

Polyverse I Wish

 

こちらはフォルマントとピッチを制御して、入力したMIDIノートのピッチに合わせてサウンドのピッチを固定するピッチフリーズプラグイン。どのようなプラグインかというとあらゆるオーディオ(例えばノイズや話し声など楽音ではない音がわかりやすいでしょう)のピッチを強引にトランスポーズすることによって楽器のように演奏することができてしまうというプラグインです。機能としては大雑把に言うとこれだけですが、あらゆるジャンルにおいて可能性があるプラグインといえます。ラップにピッチのニュアンスを加えたり、フィールドレコーディング素材に楽音の要素を加えたり。






まとめ

マルチエフェクトプラグインは単に機能が多いだけで評価できるものではなく、実用性というものもとりわけリアルタイムコントロールする際には重要になっています。例えば機能の多さ、モジュレーション機能がついているかどうかというのは確かにエフェクトの可能性を広げる一要因ではありますが、どのようにパラメータを設定するかはメーカーやプラグインによって異なることも多く、同じような効果を得る上でもプラグインによって設定方法が異なります。自分にとって使いやすいUIになっている方が作業効率やインスピレーションに良い影響を及ぼすというのは間違いないと思うので、あらかじめ操作性を確認することもおすすめします。ここにピックアップした中ではPolyverseが異色ですね。リリース頻度は多い訳ではないのですが、想像もつかないようなプラグインが今後リリースされるのか楽しみですね。



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