【Review】Acon Digital「Remix」レビュー(史上初のリアルタイムステム分離プラグイン・他社製品との精度の比較・評価)

【Review】Acon Digital「Remix」レビュー(史上初のリアルタイムステム分離プラグイン・他社製品との精度の比較・評価)


製品情報

人工知能に基づいた最先端のテクノロジーによりリアルタイムでミックスを5つのステムに分離できる史上初のステム分離プラグイン Acon Digital「Remix」リリースなっております。これは気になりますね。対応DAWであれば、サンプルをDAWの中でステムトラックに分離して、トラックごとにリミックスできるという。
Music Rebalanceのようにスタンドアロンではなく、(確かプラグインではLogicのAra 2で挿せたような気がしますが、トラックに制約がありますね)トラックにインサートしてステム分離、DAWによってはルーティング処理によってステムごとにエフェクト処理できるようになっています。



Remix は、許容可能なレイテンシーでリアルタイムにミックス内の楽器グループ (いわゆるステム) を分離できる最初のプラグインです。リミックスは、人工知能に基づいた最先端のテクノロジーを使用して、完全なミックスをボーカル、ピアノ、ベース、ドラム、その他の 5 つのステムに分離します。これらのステムはリミックスできるため、ボーカルのレベルを簡単に上げたり、ドラムのレベルを下げたり、カラオケ バージョンを作成したりすることもできます。Remix を使用すると、個別のステムごとに検出の感度を制御できるため、アーティファクトと流出の間の最適なバランスを見つけることができます。すべてのパラメータは完全に自動化可能です。シグナルミックスによる出力に加えて、Remix はステムごとに個別の出力を提供します。ホストが許可している場合は、出力を別々のトラックにルーティングすることができるため、5 つの別々のトラックがあるかのようにインサート エフェクトを使用することができます。

特徴
  • ミックスを 5 つのステム (ボーカル、ピアノ、ベース、ドラム、その他) に分ける 
  • 各ステムの検出のための感度制御
  • 各ステムの出力レベルメーター
  • 複数のオーディオ出力 – ミックス、ボーカル、ピアノ、ベース、ドラムなど
  • プリセットマネージャーと多数のファクトリープリセット
  • ユーザープリセットの保存、ロード、分類
  • サイズ変更可能なグラフィカル ユーザー インターフェイス
  • 調整可能な UI スケーリング



システム要求
ウィンドウズ

Windows 11 / 10
Intel Core i5 または AMD マルチコア プロセッサ (Intel Core i7 以降を推奨)
ディスプレイ解像度 1366 x 768 (1920 x 1080 以上を推奨)
1 GB RAM (4 GB 以上を推奨)
1 GB の HD 空き容量
VST、VST3、または AAX (Pro Tools 12 以降) と互換性のあるホスト アプリケーション
マックOS

OS X 10.13以降
ARM64 および Intel 上でネイティブに実行
1 GB RAM (4 GB 以上を推奨)
1 GB の HD 空き容量
AU、VST、VST3、または AAX と互換性のあるホスト アプリケーション (Pro Tools 12.8.3 以降)
その他詳細は製品ページも確認してください。
Remix 

機能紹介・使い方

Acon Digital「Remix」は史上初のリアルタイムステム分離プラグイン。ステムセパレーションと呼ばれるツールは2Mixを楽器ごとに(これはメーカーによって区分は異なります)分離して楽器ごとのステムファイルに分離してしまうというツール。簡単に言うならば、楽曲からドラムだけを抽出したり、あるいはドラムだけ消したりすることができるわけですね。こうしたツールはRXのMusic Rebalance機能等、様々な技術力のあるメーカーがリリースしてきたわけですが、基本的にオーディオをリッスンさせて分離というように読み込ませる必要がありました。(RXは一部DAWでARA対応しているようですが、それでもインストルメントトラックによるリアルタイムMIDI送信には対応していません。)Acon Digital「Remix」はなんとトラックに直接インサートして分離してしまうというこれまでのツールとは一線を画しています。このメーカーの信用のおけるところは許容できるレイテンシーでと名打っているようにリアルタイムといっているもののレイテンシーの問題を正直に公にしているところですね。使ってみると動作が極端にもっさりするということももないのでまさに絵にかいたような許容できるレイテンシーです。
使い方は非常にシンプルDAWトラックのうち複数の楽器の信号が集まるマスタートラックやあるいはバスなどでも良いかもしれませんが、そこにインサートするだけ。すると画面のように勝手に信号が5つのカテゴリーに分離されてしまいます。プラグイン上で5つのトラックに分離されたわけですね。ここではステムごとのボリュームコントロールはもちろん、ソロミュートで特定のトラックのみを抽出したり、消したりすることができるようになっているわけです。なかなか優れているのはステム事にSensitivityパラメータが用意されており、分離が上手くいかずに抜けてしまった信号、あるいは別のステムトラックの楽器の信号が入り込んでしまった時に微調整できるようになっています。デフォルト設定が上手くいくことが多いですが、微調整をすることで、入りきらなかった信号を取り戻すこともできますが、やりすぎると余分な信号まで入ってくるので、トレードオフです。


また、DAWによって設定方法や可否が異なるようですが、このプラグイン上で分離されたトラックを個別にルーティングしてDAW上のトラックに信号を分けて送ることができます。つまり、トラックごとにパンニングをしたり、エフェクトをかけたりもできてしまうわけですね。(Studio Oneの場合Pre SendやFXトラックでそれぞれのトラックにインサートして使用するのでしょうか。)

評価


この手の技術系ツールは筆者がエンジニアリングをしていることもありやや厳しめの評価で見てしまうのですが、RXをはじめとした業界の最先端をいくいくつかの製品をいくつか比較してみましたが精度は確実に上がっているといえます。RXのMusic Rebalanceでは分離したトラックを聴くと歪みやピーキーなレゾナンスが混入することがありましたが、Acon Digital「Remix」では同条件で比較際に条件が良ければ完璧とは言わないまでもそのまま抽出したものをしようできるのではと思える破綻のない抽出ができました。トラックごとにSensitivityが設定できるので完全ではないですが、より妥協点を探りやすくなっていると感じられます。特に精度が良いのが、ボーカルとドラム。これは現状のテクノロジーを鑑みるならば間違いなく実用レベルまで近づいていると思いますね。割と神経質にならなくても綺麗に抜けます。総じて言えるのが抽出するのは上手くいくことも多いのですが、抽出した後の残りのトラックに抽出した成分が一部残ってしまうことが多い気がします。一方で難しいのがベースとピアノ。ピアノの場合アコースティックであっても(素材によって上手くいくいかないが関係すると思いますが)レゾナンスだけ抽出されたり、かといってSensitivityを上げるとベース等の余計な成分が入ってきたりとやはり少しいろいろな成分が混在してしまいます。ベースの場合も同様です。結論として言うならば、完全に分離することはやはり今の最先端の技術でも難しいことが感じられます。しかし、このプラグインのもう一つの真価はステムのボリュームバランスをミキシングしたり、あるいはトラックごとにルーティングすることによってそれらにエフェクトをかけ直せるというところでしょう。ここまでステム分離の精度の強みと弱みについて述べてきましたが、このようなリミキシング目的であれば、むしろ精度の良さを感じさせます。(他に代替えのプラグインがないというのもありますが)これは例えば、まとまった2Mixを素材として再加工する制作にも十分活用できる可能性を感じさせる機能だと思います。要望としては今後ジャンルに区分せずに楽器以外の成分もカスタマイズして抽出できたりすると(信号を聴かせて認識させるなどでしょうか)フィールドレコーディング系のサウンドアートなどにも応用できそうなのでさらなる拡張が望まれる領域のプラグインだと思いますね。


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