【Review】Baby Audio「Transit」レビュー(Andrew Huangとのコラボレーションにより設計された究極のトランジションデザイナー・使い方・評価・競合製品との比較)
製品情報
究極のトランジションデザイナー
このプラグインは静的ミックスを無効にします。Baby Audio は Andrew Huang と協力して、ミックス トランジションにスーパーパワーを与える FX プラグインである Transit を作成しました。ビルドアップ、ドロップ、モーション エフェクト、ライザー、スイープに使用して、リスナーを常に魅了し続けます。
より良いトランジションを作成する簡単な方法
曲のパート間の創造的なトランジションは、リスナーを惹きつけて興奮させ続ける上で重要な役割を果たします。こうした移行を行うために、プロデューサーは複数のトラックとプラグイン、そして息が詰まるほどの量のオートメーション レーンに依存しています。
Transit は、このプロセスを 1 つのプラグインのみに簡素化します。18 個の強力なエフェクト モジュールをホストし、7 つのスロットに自由にロードできます。すべてのエフェクト パラメータはグローバル マクロ コントロールにリンクでき、これを自動化してノブ 1 つで複雑な FX トランジションを作成できます。その結果、より魅力的で、静的なミックスが少なくなります。
クリエイティブな遊び場
Transit の 18 個のエフェクト モジュールは、トランジション業務用に特別に設計されています。クラシックなモジュレーションエフェクト、ディストーションとデグラデーションのオプション、モーション FX、リバーブ、ディレイ、2 種類のフィルター、さらにはトランジションにライザーとスイープを追加するためのシンセ オシレーターとノイズ ジェネレーターも利用できます。
エフェクトの品質と多様性、そしてプラグインのセミモジュラー アーキテクチャにより、Transit はサウンド デザイナーの夢となっています。すぐに通常のマルチ FX または新しい頼りになる LFO ツールとして使用することになるかもしれません。可能性はほぼ無限です。
あらゆるジャンルに対応する 200 以上のモダンなプリセット
物事を迅速かつシンプルに保ちたいですか? Transit には、Andrew Huang と Baby Audio の友人によって作成された、クリエイティブでモダン、驚くべき、「手を上げたくなるような」プリセットが 300 以上含まれています。プリセットには、さまざまなジャンルやユースケースに対応した幅広いオプションが用意されており、すぐに満足感を得ることができます。
また、特定のランダム範囲を設定し、モジュール/パラメーターをロックしてプラグインの特定の部分のみをランダム化できる柔軟なランダム化エンジンを使用して創造性を発揮することもできます。これにより、トラックをまったく新しい方向に導くことができます。
モーションシーケンサー
マクロ モードからシーケンサー モードに切り替えて、ボタンをクリックするだけで DAW 同期トランジションをプログラムおよびトリガーできます。各トランジションは次の小節から正確に始まります。ライブでの使用に最適です。または、オートメーション レーンに入らずに、完璧なタイミングでオートメーションをミックス セッションに書き込むこともできます。
シーケンサーは、トランジットの追加の使用例のロックを解除します。ループ モードに参加すると、トランジションが無限に前後に脈動します。これにより、Transit はトラックに一定の FX の動きを追加するクリエイティブな「LFO ツール」に変わります。
アンドリュー・ファン×ベイビー・オーディオ
アンドリュー・ファンは、その創造性、好奇心、制作スキル、そして複雑なコンセプトを簡単に見せる能力のおかげで、世界で最も支持される音楽プロデューサーの一人としての地位を確立しました。彼はそれらすべての資質をトランジットにもたらします。このプロジェクトは、Andrew と Baby Audio の真の共同作業であり、18 か月かけて制作されました。彼らはその最終結果を誇りに思っており、さらに多くのモジュールとプリセット拡張を Transit に導入することにすでに取り組んでいます。
特徴
- ノブを 1 つ動かすだけで、手が震えるような複雑な FX トランジションを作成できる究極のプラグイン
- 曲のパート間に興奮を高め、作品に耳を楽しませるちょっとした瞬間を追加するのに最適です。
- 単一のマクロノブまたはボタンをクリックするだけでDAW同期オートメーションをトリガーするモーションシーケンサーでコントロール可能
- 「シーケンサー ループ」モードを有効にすると、トランジットを LFO ツールとして使用し、トラック全体にわたる一定の FX の動きを実現できます。
- スタジオとライブの両方に適したクリエイティブな遊び場
- Andrew Huang と一流のサウンド デザイナーによって作成された 200 以上の高品質プリセットが同梱されています
その他製品情報の詳細は製品ページも確認してください。
機能紹介・使い方
Baby Audio「Transit」はダンスミュージックではおなじみのセクションの区切りに挿入されるライザーやスイープ等のトランジションエフェクトを作るためのマルチエフェクトプラグイン。トランジションを作るエフェクトは他にも様々な製品がリリースされています。この手のプラグインには大きく分けて2種類のタイプがあり、一つはシンセサイザーのようにインストゥルメントとして、そのプラグイン自体が楽器として、サウンドエフェクトをジェネレートするタイプと、エフェクトプラグインとしてトラックに挿入することで、トラック自体にエフェクトがかかる、あるいは追加のシンセ合成が付与されるパターンです。このプラグインは後者に該当します。
エフェクトプラグインとしてトラックにインサートした後にまずトランジションコントロールとして手動とオートメーションの2つのモードを選択します。手動はマクロコントロールのようにTのノブを動かすことによってそれぞれのLFOが割り当てられたエフェクトのパラメータが連動して動きます。
オートメーションでは小節数と、エフェクトが時間全体のなかでどのタイミングで始まるかをコントロールすることができます。
合計7つのスロットが用意されており、各モジュールにエフェクトをロードします。エフェクトもこのようにビットクラッシャー、オートパン、等の標準的なものだけでなく、ピッチシフターやオシレータ等積極的に原音に干渉するものまでそろっています。
競合製品との比較
2023年にリリースされたUJAMによるFinisher BOOSTがあります。こちらもトランジションの手動制御の他、オートメーションで、好きな小節からスタートすることもできるようになっています。こちらはプリセットごとにパラメータノブがカスタマイズされており、まさに独立したエフェクトプラグインのライブラリがたくさん入っているといった印象です。エフェクトライブラリとしてみるのであれば、こちらの方が、素早くお目当てのエフェクトを探し、自分好みに調整するのには適しているかもしれません。その分、自分で一からエフェクトをデザインすることは難しいので(エフェクトのバリエーションは多く用意されているんので、足りないということはさほど感じることはないかもしれませんが)、どちらかというとエフェクトが好みかどうかによって評価が左右される印象です。
まとめ・評価
アーティストコラボレーションとして海外では話題沸騰していたようですが、注目されるのも納得の極めて完成度の高い製品であることは間違いないでしょう。従来のトランジションエフェクトプラグインとはことなり、モジュールを自在に組み合わせ、エフェクトチェーンも並び替えられるだけでなく、モジュール自体もオシレータからフィルターディストーション、OTTまで一通り網羅されており、まさにトランジションデザイナーの名に恥じない汎用性があります。それでありながら、各モジュールのパラメータは非常に厳選されており、(やろうと思えば、さらにパラメータを増やすことも可能だったと思いますが、パラメータを絞っているのは意図的でしょう。)煩雑にならず、エフェクト全体としての一機能としてみれば、ほとんど物足りなさも感じさせないような実際の使いやすさも考慮されているように感じます。LFOやマクロコントロールのオートメーションの微調整もそれぞれのパラメータに対してコントロールできるようになっているので、思った通りのタイミングでオートメーションを用意しやすい設計です。また、手動のコントロールも用意されている点は抜かりがありません。自分で一からエフェクトを創り出せる方にとっては、非常に長い間使い込めそうな汎用性の高さを感じます。(一通り基本となるエフェクトが網羅されているので、無制限に色々と試すことができてしまうため、ついつい長時間ハマってしまいそうな沼のようなところもあります。)一方で、プリセットもAndrew Huangとのコラボレーションということもあり、非常に洗練された個性的なエフェクトがそろっており、そのまま使う、あるいは微調整するだけでも十分使用のし甲斐があると思います。(個人的にもプリセットは大分攻めたアグレッシブなものも多い印象がありましたが、中にはそのまま使いたくなるようなものが多く)EDMやダンスミュージック、主に商業音楽やポピュラースタイルの電子音楽を制作する人にとっては今年リリースされた製品の中でも特に注目しておきたい製品の一つだと思いますね。
また、下記公式サイトでは無料試用もできるので、ここのメーカーのプラグインの中でも少し複雑なプラグインということもあるので操作してみることをお勧めします。
Transit