【Review】 Orb Plugins「Orb Tempus」レビュー(世界初のポリフォニックスローダウンエフェクトプラグイン)

【Review】 Orb Plugins「Orb Tempus」レビュー(世界初のポリフォニックスローダウンエフェクトプラグイン)


世界初ということで常に最新・最先端のプラグインを追いかけていることもあり、発売当初から気になっていました。

メーカー情報

ポリフォニックハーモニック減速機

すべてをゆっくりにしてください

Orb Tempus は、あらゆるオーディオを陰気で穏やかなポリフォニック バージョンに変換し、楽曲に計り知れない深みと雰囲気を加えることができます。



任意のサンプルからコードを作成

スローダウンしてあらゆるサンプルからコードを作成できる機能により、創造的な探求の可能性は無限大です。全体として、Orb Tempus は、音楽に深みと雰囲気を加えたいプロデューサーにとって必須の製品です。


FX後の微調整

Orb Tempus を使用すると、優れたスローダウン オートメーションと高度なポストエフェクト処理機能を利用できます。

完全自動化
世界的な減速
トーンパラメータ
コンプレッサー
ドライブ
スマートなDRY/WETコントロール

機能紹介

一見するとどんなプラグインか画面を見ただけでは使い方がわかりにくいですが、スローモーションエフェクトがポリフォニックに処理できるプラグインです。例えばサンプルを長く伸ばしてストレッチするとします。テンポとともにピッチも下がります。これを表現するため画面の縦列のピッチのパラメータがあります。(減速)横列は小節単位でどれだけずらして遅らせるかを設定します。つまり、このずれが維持されるようにスローダウンされます。ちょうど輪唱をイメージしてみるとわかりやすいかもしれませんね。親切なことにスケール機能が用意されており、メジャーマイナー他リディアン、ペンタトニックその他諸々のスケールが用意されており、画面上に色分けされます。ピッチ表示は半音と音程M3, m3等2通りで表示可能。

世界初ということですが、このプラグインの斬新なところは画面上のマトリックスに複数の様々な長さでスピードダウンしたパートを配置することができる点。つまり、輪唱で例えるならば、カエルの合唱の一曲を画面上に用意された好きなピッチにスローダウンさせたパートを好きなタイミングで配置できるということです。和音で重ねることもできます。

ランダマイズ機能も用意されており、コード、アルペジオ、ベース、ドラムに最適化されたアルゴリズムでパターンを生成できます。画面上のブロックは変えたくない場合ロックをすることができます。スローダウンノブは漸次的にスローダウンすることができます。これはリアルタイムコントロール系ですね。FXセクションでは、トーンでEQ系の明るさを調整、コンプとドライブはおなじみの。フェードはテールの長さの調整。Mixコントロールが非常に優秀で、単にテンポダウンしたパートだけを鳴らすのはもちろんうっすらテンポダウンしたエフェクトをかけたり自由自在です。リンクを外すことで原音とエフェクトの独立した調整も可能。




まとめ・評価

導入する前作曲支援プラグイン寄りの製品のようにも見えたのですが、どちらかというとオーディオやMIDIでシンセ等で鳴らしたフレーズを装飾するエフェクトプラグインでパートを作るような作曲支援として使用するのには向かないように思えます。パートというよりもテクスチュアを作るといったところでしょうか。

例えば、ベース単音の場合フレーズにバリエーション加えるのに良いですね。変に多くの音程を使用して濁りを作ってしまうよりもむしろ少ない音程でポリリズムを作るのも良さそうです。ミニマル系にも大変合いますね。スティーブライヒ等の作品のようなテクスチュアが出来上がり、とても使いやすそうです。(そして彼の作品でもわかるようにさほど不協和は違和感がありません。)やはりこのプラグインは楽音をベースにしたサウンドの場合原音はトーナルコードよりも旋律の方が使いやすそうです。世界初ということで、複雑なポリフォニックなラインを作ることができ、可能性を感じさせるエフェクトプラグインだといえますが、上述のようにピッチ基準でマトリックスが用意されているので(減速スピード基準ではありません)スケール等のガイドはあるものの、トーナルなコードプログレッションがあるコードの場合コードがぶつかることで理想のフレーズを作るのが難しく、機能和声の範疇にあるフレーズの場合やや慣れが必要かもしれません。少なくともある程度動きがあるコードプログレッションの場合、このプラグインで多くの音程を含むポリフォニーラインを作るのは難しいはずです。むしろ欲張らずに少ないポリフォニーをうっすらWETでかけて作るのがよさそうです。

また、シンセラインやアンビエントやパッド、アトーナルな傾向の強いサウンドの場合、さほど神経質にならなくても非常に面白いサウンドが作れます。ディレイとイメージや方向性は近いですが、ポリフォニックかつ、スピードも変えられるとなると出来ることが大分異なります。
総じていうとシンセサウンドやアンビエント、シネマティック、電子音楽、EDM寄りの楽器や音響に使用すると真価を発揮するプラグインだと思います。電子音楽にはかなり面白い使い方ができると思いますね。

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