【Review】Universal Audio「Teletronix LA-3A Audio Leveler」レビュー(リミッター/コンプレッサーTeletronix LA-3Aのエミュレーション、他社エミュレーションとの比較等)


【Review】Universal Audio「Teletronix LA-3A Audio Leveler」レビュー(リミッター/コンプレッサーTeletronix LA-3Aのエミュレーション、他社エミュレーションとの比較等)


メーカー情報


Teletronix LA-3A コンプレッサーは、象徴的な「秘密兵器」リミッターであり、ユニークでアグレッシブなキャラクターでスピーカーの正面にサウンドを押し出すことで有名です。UA のビンテージ コレクションのユニットをモデルにした Teletronix LA-3A Audio Leveler プラグインは、レアなハードウェアのすべてのトーンと魅力的なダイナミクス コントロールを提供します。

臨場感あふれる光圧縮トーンを手に入れよう

Teletronix LA-3A プラグインは、象徴的なソリッドステート 1176 の明瞭さを備えたチューブ駆動のスムーズ オペレーター Teletronix LA-2A よりも高速なリミッティングを提供することで、大胆なミッドフォワード コンプレッションを提供し、あなたのサウンドを確実にポップにします。 



 

Teletronix LA-3A Audio Leveler

Teletronix LA-3A Audio Levelerについて


Teletronix LA-3A Audio Levelerは、同社のTeletronix LA2Aの真空管タイプから変わり、LA-3Aは、UAのソリッドステート駆動による1176LN Limiting Amplifierのコンポーネントと特性を取り入れながら、LA-2Aのオプティカルコンプレッションを採用し、LA-3A独自のサウンドと拡張された汎用性のあるハードウェアとなりました。  LA-3Aはスタジオの主力製品として置かれるようになり、現在でも広く使用されています。LA3Aは、その独特のコンプレッションキャラクターと音響特性により、世界中のエンジニアやプロデューサーに好まれています。Universal Audio「Teletronix LA-3A Audio Leveler」はUniversal AudioのUrei時代のビンテージコレクションのユニットからモデリングされたTeletronix LA-3A Audio Levelerに基づいた公式エミュレーションプラグインということになります。

機能紹介

Urei Teletronix LA-3A Audio Levelerは非常にシンプルなパラメータからなっており、メインはゲインとピークリダクション値を設定するのみ。アタックやリリースはオリジナルのハードの方で設定されているのです。コンプレッサーモードとリミッターモードも搭載されています。




実機にはない機能として、HF Emphasis サイドチェーン フィルターを使用して、キック ドラムでコンプレッサーのスレッショルドをトリガーすることなくコンプレッションをかけることができます。こちらはサイドチェーン入力信号の(サイドチェーンしているトラック自体にカットがかかるわけではありません。)ローを削ることでコンプレッサーに引っかかるハイの感度を高めることができます。また、Dry Mixノブによってパラレルコンプレッションを行うことができるようになっている点も新機能。メーターはゲインリダクション他OUTPUT,OFFの状態を計測できます。



Teletronix LA-3A Audio Levelerはエミュレーションがそこまで多いわけではないのですが、有名どころで一定の評価もされているWaves「CLA-3A」 と比較してみましょう。



こちらも業界のエンジニアが愛用することも多い評価の高いエミュレーションプラグイン。こちらはアナログノイズがカスタムで追加できるところもポイント。

Waves「CLA-3A」

ユニークで非常に透明感のあるコンプレッションカーブを持つことで知られる70年代初期のソリッドステートユニットをベースに開発されたCLA-3Aは、実機同様に素早いレスポンスと繊細な倍音歪みを提供します。オリジナルと同様にベース、ギター、ボーカルに豊かな彩りを加え、ミックスにさらなる深みを与えてくれることでしょう。オリジナル機と異なるのは、CPUが許す限りいくつものCLA-3Aを同時に使えるという点だけです。


Teletronix LA-3A Audio Levelerエミュレーションプラグインの比較

Sinウェーブで同条件のComp Gain 10 Reduction 10で比較してみます。

UAD Teletronix LA-3A Audio Leveler



Waves CLA-3A





まとめ・評価


比較してみるとCLA-3Aの方がより透明かつさりげなくナチュラルにかかる印象。FETの特性もあるため、非常に素早くかかりますが、ミュートのようになめらかにリダクションされます。音はしっかり引き締まってくれます。シュッとスマートに身が引き締まる感じ。非常にわかりやすく(言い方を変えれば強烈な癖が強くないともいえますが)引き締まるのでエンジニア等からも一定数評価されているのも納得です。
Universal Audio「Teletronix LA-3A Audio Leveler」は挙動は大変似ているのですが、よくよく聞いてみるとCLA-3Aにはあまり強調されていなかった音色に粒が細かいざらつきのかんじられるきめ細かい質感が加わります。そのため、CLA-3A以上に音が有機的に聴こえる印象があります。CLA-3A同様に音がタイトになるのですが、音像全体が引き締まってタイトな印象を与えるのではなく、音の核の部分だけ引き締まる印象。そのため、サウンドは引き締まりつつもミックスの中でにじみと広がりを持っています。若干粒の細かさと解像度が高くなっている印象を強く感じます。Waves CLA-3AのAnalogスイッチのようなオーディオに全体的に満遍なくノイズによるウォームな雰囲気が加わるのとは性格が異なります。
過度に飽和せずに繊細にざらつきが加わる点は他のUADコンプレッサーエミュレーション(1176等)と方向性が類似しており(性格は異なりますが)UADの一つの特徴なのかもしれません。
それはスペルトル上でWavesよりもUADの方が、第一倍音と第二倍音が大きく出ていることからもある程度の違いが出ていると言えるかと思います。そのため、よりキャラクターを求めたい場合、全体的な音楽の流れではなく、音自体にスポットライトがあたり、細部にまで解像度の高い状態で聴かせたいシーン、アナログを思わせるような不確定的なニュアンスが欲しい場合には、Teletronix LA-3A Audio Levelerはより良い選択肢となるかと思います。

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