【Review】Bela D Media「Vocal Tools Latin Tenor」レビュー(テノールボーカルライブラリ)

Bela D Media「Vocal Tools Latin Tenor」レビュー(テノールボーカルライブラリ)

メーカー情報

Vocal Tools Latin Tenor は、(SATB) 4 部構成のクラシック ボイス シリーズの第 2 部です。これは、リマスタリングされたオーディオと新しく高度なスクリプト技術を備えたシリーズの再紹介です。このリリース以前は、Vocal Tools シリーズは配布チャネルのみを介して、非 GUI の NI Kontakt 4 形式で販売されていました。VTL Tenor は、Native Instruments Kontakt 4/5/6 と完全に互換性があり、フル リテール バージョンです。独自のプログラミング、サンプル編集、および高度なボーカル ツール スクリプトにより、Bela D Media は、ボーカル フレーズ シーケンスを利用する最初のサンプル音声ライブラリを提供します。ユーザーは、ボーカルスケール全体で特定のフレーズ内の要素を完全に制御できます。Native Instruments Kontakt のために特別に作成されたテナーは、暗くて心に残るオペラのようなボーカル スタイルで歌われ、あらゆる映画やメディア プロジェクトにぴったりです。



何が歌われていますか?VTL Tenor には、ラテン語とグレゴリオ語のボーカル要素が大幅に集まっており、フレーズをコントロールできます。すべての声の動きは自然なレガート状態であり、ソリストの指定された声域内で、任意のキーで前進、ミスマッチ、シャッフルすることができます。Vocal Tools Audition は 24 ビット オーディオで、CAD Trion 8000 チューブ マイク経由で Pro Tools に直接録音されます。


製品詳細
ソロ テナー ボーカリスト
Range e4-a5
2 つの nki ファイル
24 ビット オーディオ
スタジオ環境
IRF を含むチャーチ アンビエント
何が歌われていますか?
VTL テノール 01.nki
  • Agnus Dei
  • Benedictus
  • Confutatis Maledictis
  • Depoenis Inferni
  • Libera Me
VTL Tenor 02.nki
  • Misericordia
  • Omnipotens
  • Requiem Aeternam




特徴
  • リニアなフレーズ操作のためのモジュレーションホイール制御のサンプルオフセット
  • 微妙なテンポ操作のためのサンプル速度オフセット (減速および加速) に割り当てられたピッチベンドホイール
  • 自分で作成したボーカルの動きのリアルタイム シーケンスとインスタント コールバック
  • エレメントを 12 パートのボーカル ステップにミックスして、歌われる詩を作成します
  • インスタント コールバックで最大 12 節を作成して保存
  • 12ステップ要素ごとのアタックとリリースのコントロール
  • ボーカル要素ごとに GUI で制御可能なアタックとリリース
  • GUIで制御可能なボーカルEQとエフェクト
  • GUIで制御可能なImpulse Response教会のリバーブ
  • スタジオドライ環境のバイパス

機能紹介


Vocal Tools Latin Tenor はテノール歌手によるベルカント唱法によるKontaktライブラリ。2種類のKontakt パッチが用意されています。EQコンプの他、教会のIRに基づいたリバーブが用意されています。リバーブを切るとドライでかなり距離が近いマイクオン気味の収録であることが分かります。


最大の機能はV Script というフレーズビルダーような機能。フレーズライブラリの中からステップシーケンスが用意されており、(シーケンサーとしては表示されません)フレーズをステップシーケンスにロードしていくことができます。これらの歌詞がロードされたステップはメロディがMIDI入力されるたびに(青色の鍵盤)次のステップへと移り変わることによりメロディに応じて歌詞を切り替えることができるようになっています。

V Script は、作業中の作曲家の負担を軽減するために設計された洗練された強力なツールです。ほとんどの側面は、舞台裏またはその場で行われます。作曲者は、キースイッチを押すだけで、ボーカル シーケンス (要素のグループ) を作成し、それぞれを保存するだけです。

ステップの歌詞ごとにアタックやリリースタイムをそれぞれ独立して設定できるので、発音のタイミングやニュアンスを細かく設定することができます。また、最大12のフレーズのセットを作成することができ、赤色の鍵盤がキースイッチとなっており、切り替えることができるようになっています。
例えば、上記画面のグレゴリオ聖歌からの歌詞Misericordiaに対して4つの節からなるステップが設定されているため、自在なメロディに合わせて4音でMisericordiaという歌詞を歌わせることができます。しかし、問題となるのは4音のリズムが異なれば、サンプルは一定のテンポで収録されているため、上手くはまらないこと。これに対し、このライブラリではピッチベンドホイールによって発音されるサンプルの速度(減速および加速) をリアルタイム制御することで解決するというソリューションを提案しています。これはMIDIノートのタイミングをいじることなく、歌い方を微調整することが可能な大変便利なコントロールだと思います。併せてモジュレーションホイールでサンプルのオフセット(サンプルのどの地点から再生するか)を設定することができるので、滑らかに歌詞をつなぐことができるようになっています。ちなみにオフセットを利用することでフレーズをカットできるので母音のフレーズを歌わせるといった裏技的(?)な使い方もできます。
レガートの繋がり方はかなりのもので、何も考えずにMIDIキーボードで演奏しても(当然ある程度のアーティキュレーションはありますが)声楽的に声が繋がります。また、単旋律だけでなく、和音にも同様に対応しているので、コード進行を入力すると合唱になります。

評価・まとめ


リアルタイムコントロールが非常にうまく設計されたライブラリで、これが最大の目玉ともいえるでしょう。フレーズが限定されている代わりに(上述により、母音のいくつかを歌わせることは可能)歌わせ方の微妙な調整が非常に合理的でかなり細かいところまで設定できます。MIDIキーボード、コントローラー等でのリアルタイム操作をある程度前提とした設計なので、クワイアやボーカルフレーズを加えたいときに瞬時に立ち上げて、面倒な作業なしにMIDIコントロールして作れるのはなかなかの魅力。
クワイアパートを全体的に担うというライブラリというよりは、むしろワンポイントで使用されるシンフォニックメタルやゴシック、エピック系のフレーズ、商業音楽や劇伴等にすぐ付け加えられるという、業務内での使用を想定したようなライブラリですが、思ったままの歌い回しで教会音楽風あるいはオペラ風のフレーズを加えるのには便利なライブラリだと思いますね。


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