【Review】W. A. Production「Loop Engine 2」レビュー(作曲支援系MIDIジェネレータプラグイン、新機能について・他の製品との比較等・セール情報)



W. A. Production「Loop Engine 2」レビュー(作曲支援系MIDIジェネレータプラグイン、他の製品との比較等)


メーカー情報




WA Production と Liminal Sphere は、マルチボイス ループ ツールのラインナップの先駆的な後継製品であるLOOP ENGINE 2を誇らしげに発表します。最先端の機能強化によりさらに強力になりました。LOOP ENGINE 2 は、 MIDI 生成の進化を継続し、CHORDS プラグインの尊敬される伝統を基礎にしながら、新境地を開拓します。静的なコード形状と分割可能なセグメントの制約を破棄します。Loop Engine 2 は、その高度な音色とリズミカルな機能により、リフ、アルプ、メロディーを未知の領域へと押し上げます。このプラグインは標準を超えており、これまでにない直感的なコントロールで MIDI ループを作成してアルゴリズムを彫刻し、トラックにインスピレーションと革新を継続的に供給することができます。

Loop Engine 2の機能強化

マルチトラックルーティングから広範なコード選択、クリエイティブなランダマイズまで、ループエンジンのすべての人気機能を保持します。
Loop Engine Listener プラグインは引き続き音声を複数のトラックにルーティングすることを容易にし、管理オプションが改善されました。
シンプルさと効率性を高めるために微調整を加えた、より合理化されたインターフェイスをお楽しみください。
MIDI のエクスポート機能が改良され、作成したユニークなパターンを直接 DAW に簡単に取り込めるようになりました。




引用元:Loop Engine

Loop Engine 2の新機能について


Loop Engine 2では大きく分けてこれらのアップデートが行われました。


Loop Engine 2 の新機能は何ですか?

  • Note Editor : 複雑なポリフォニーの領域を掘り下げます。従来のコードノートを超えた精緻なメロディー、ベースライン、アルペジオ、リズムを作成します。ノート エディターは、シームレスなノート配置、直感的なコンテンツ転送、スクロール可能なピアノ ロールを提供し、究極のクリエイティブなコントロールを実現します。
  • Poly (改訂版) : 更新された POLY 機能で複雑なポリリズミック パターンを作成し、魅惑的なシンコペーションでセグメントを織り交ぜることができ、再生中にハイライト表示され、没入型の作曲体験を実現します。
  • AUXノート:革新的な「AIウィザード」は、コードのトランジションを豊かにするために自動的に挿入される味わい深い通過ノートでメロディーとハーモニーを強化します。このライブ機能により、音楽にさらに洗練された層が追加され、将来のアップデートでさらなる機能強化が予定されています。
  • リスナーのアップデート: 改良されたリスナーでは、AUX ノート出力を管理するための 3 つのモードが提供され、トラックへのシームレスな統合が保証されます。
ここでは挙がっておりませんが、MIDIパターンやコードパターンのプリセットが非常に見やすくデータベース構造になりました。(やや画面が小さいような気はしますが、それでもV1のプルダウンと比べて非常に実用性が上がっています。特にジャンルやスタイルごとの分類はなかなか良い。)





また装飾音のオプションが用意されたのが大きなポイント。これはAUXボタンを押すことによってA!に基づき自動的にフレーズに装飾音が追加されます。スイッチをオンにすることによって勝手に追加されます。出来としてはフレーズによって異なるようなので一概にいうことはできませんが、全体的に自然なフレーズが挿入されるといった印象で(アーティキュレーションは変更の余地ありのものもあるかもしれません)なかなかセンスの良い装飾が加わったりもするので面白い実用的機能だと思います。


また、待望のMIDIパターンのピアノロール上での細かいフレーズのカスタマイズができるようになったのは結構大きな変更点です。これまでは基本的にUI上の限られたシーケンス上でコードの構成音に基づきマイナーチェンジする仕様でしたが、ピアノロールを出すことができるので、フレーズの自由度が格段に上がりました。




Loop Engine とLoop Engine 2は異なるプラグインとして独立しており、前バージョンも販売されているようです。よってここから先はLoop Engineと共通する機能について解説していきます。

機能紹介


W. A. Production「Loop Engine 2」はMIDIジェネレータプラグイン。これまでもChords等様々なシリーズがリリースされていますが、その最新版ということになります。最大の特徴はマルチトラックのルーティング。

見た目は似ていますが、Loop Engine は以前のどの CHORDS プラグインよりもはるかに多くの機能を備えています。高度なマルチトラックのルーティングと再生、および豊富な新機能を提供します。ピアノ ロール ビュー、追加のコード、ボイシング ルール、コード範囲、テンション ノートを追加し、オープン、ミックス、またはクローズ コード位置を選択する機能。

それぞれの機能の違いはこの公式動画で解説されています。 




MIDIジェネレータプラグインは様々なメーカーからリリースされていますが、W. A. Production「Loop Engine」の最大の特色はループ音楽に最適化されていること。(ループ音楽以外でもコードが16小節等で循環するポピュラー音楽もちろん使えます。16小節を超える長いコードワークやフレーズの作成等には適していません。)UIを見てわかるように円形になっており、シーケンスを循環するようなかたちで再生できるようになっています。



フレーズは大きく分けてコード、アルペジオの2種類が用意されています。それぞれステップの数(コードの数)や長さキー、再生スピードを設定できるようになっています。非常に便利なのがランダマイズボタン。変更したくないコードはロックをかけつつCreateを押すとランダマイズされます。コードの構成音は円状に4本の弧であらわされており、鳴らしたい音を設定することができます。そのため、鳴らさないことも可能。

コードはそれぞれオクターブ、転回、レンジだけでなくヴェロシティまで設定できるという親切設計。コードはTSDのファンクションに分かれて分類されているので、(子のファンクションは西洋音楽ではなく、ジャズセオリーとそれに準ずる文脈です。代理コードや裏コードも用意されています。)コードの知識がなくともある程度感覚的に組むことができます。Sus2 Sus 4等コードの種類やテンション(7th 9th等)もオプションで設定できます。オルタード等は用意されていません。コードプリセットも数があり余るほどあるわけではありませんが用意されています。



アルペジオモードでは設定したコードに対し、度数でアルペジオを作ることができます。コードあたりのノートのグリッド数ももちろんカスタマイズできます。構成音以外は鳴らせない代わりに、アボイドになることもありません。アルペジオは同時発音もできるのでフレーズを和音にすることもできます。そして、大変便利なのは各コードのアルペジオフレーズをコピー&ペーストによって他のコードにコピーすることができます。つまり、フレーズのマイナーチェンジも簡単にできるということです。また、アルペジオパターンのプリセットも用意されています。


これらの作ったフレーズやコード進行はDAWにドラッグアンドドロップでMIDIエクスポートが可能です。

また、エクスペリメンタルな機能も搭載されています。任意のループを周期を設定することができるポリモードでは例えば、7/8周期のループ等少しずつずれていくパターンを作ることも可能。これはなかなか面白いことができるはずです。また、設定も非常に楽で新たに入力すこともなく、単にループする範囲を指定するだけです。




そして、「Loop Engine」ではマルチトラック対応なので 、最大8つのパターンを1つのプラグイン上で作成することができ、数字がチャンネルになっているので、それぞれのチャンネルに切り替えます。DAW上の任意のヴァーチャルインストルメントにルーティングすることができます。DAWによって微妙に設定が異なるのですが、Loop Engine LISTENERというプラグインをチャンネル数分トラックを作り、信号を分割してそれぞれのトラックに送信します。





評価・まとめ

アップデートによって、自由度があがっただけでなく、フレーズパターンの引き出しが整理されたプリセットライブラリにより使いやすさも上がりました。この製品を使っているという人ならアップグレードする価値は十分にあると思います。(アップグレードが安価というのもうれしいところ。)作成できるフレーズはハーモニーの度数に応じたアルペジオなので一定の制限はありますが、その分直感的にフレーズが作れるだけでなく、和音も対応、また、さらなる細かいフレーズをMIDIエクスポートで調整するといった柔軟性も備えています。

また、Scaler 2よりもコードセオリーが単純化されている代わりに、フレーズ作成の幅が圧倒的に広いだけでなく、マルチトラックのフレーズをこのプラグイン内で作成(あるいはスケッチ)できてしまうのは革新的と言えると思います。また、コードを一つ一つ並べるのではなく、逆の発想で、コード進行をパーティションのように分割していくのは合理的といえますね。
コードワークだけでなくさらに細かいフレーズまで対応できるのプラグインはそう多くないと記憶しています。ダンスミュージックやループを基本とした音楽制作をメインにする人にとってはもともとのそれを想定されて設計されていることもあり、使いやすさが頭一つ抜けています。ランダマイズもコードのロックとランダム化とシンプルで例えば、ランダマイズ系でパラメーターが非常に多いMIDI Madnessよりも操作がシンプルでなおかつフレーズの細かいところまでコードに基づいて簡単に調整できるといったコードセオリーに準じた直感的なプラグイン設計であるといえます。
制作にかなり踏み込んだところまで一つのプラグインで完結することもできるので、MIDIジェネレータの中でも非常に有益なプラグインかと思います。単にコードライブラリとして使うのであれば、ミュージックセオリーに基づいて詳細に分類されているScaler 2の方が使いやすいかもしれません。
ややルーティングに手間がかかるところがやや面倒ではあるかもしれませんが、それに見合う機能を備えているといえます。(また、コード選択のスイッチが小さいのはもう少し大きくしてもらった方がうれしいですね)総合的に見ても、かなり使える作曲支援プラグインの一つだといえるかと思いますね。



セール情報

最安値は70%OFFとなっております。W. A. Productionセールは長期にわたることが多いですが、製品の数も多いことからローテーションで回ってくるのが一年後ということもあったります。一度セールが終了するとなかなか回ってこないことも多々ありますね。

また公式ストアでで異なるセールが行われていることも多いので確認してみると良いでしょう。

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