【Review】Universal Audio「UAD Diamond Edition」「UAD Creative Edition」「UAD Mix Edition」「UAD Essentials Edition」レビュー(UADネイティブプラグイン全製品を網羅したレビュー、収録製品の評価・最安値とセール情報)

【Review】Universal Audio「UAD Diamond Edition」「UAD Creative Edition」「UAD Mix Edition」レビュー(UADネイティブプラグイン全製品を網羅したレビュー、収録製品の評価)

2023年2月Universal AudioによりUADネイティブプラグインが発表されたことにより、これまでプラグイン使用のために必要だったUADハードウェア(あるいはハードウェアなしで使用するために加入条件であったUAD Sparkサブスクリプション)が不要になり、通常のDAWで通常のプラグインのように使用することができるようになりました。

こうした経緯もあり、ちらほらと良い評判は聞くもののユーザーの数が他のプラグインと比べて限られていたのも事実であり、実際のところどうなのか気になる人も多いはずです。ここではUADネイティブプラグイン全製品を網羅した上でレビューします。
追記:新製品についてはこちらで詳しくレビューしています。


UADネイティブバージョンバンドル収録製品の比較

UADネイティブプラグインのリリースと同時に、セットで購入すると大幅な割引となる破格のプラグインバンドル、UAD Diamond Edition、UAD Creative Edition、UAD Mix Editionの3種類が用意されました。(追記UAD Essentials Editionが新規追加されました。)
単品で買うよりもかなり安くなるので、例えば1、2製品だけをピンポイントに使う人は単品の方が単純な価格としてはおそらく安いですが、4、5製品以上今後使う可能性がある人はバンドルの方がトータルでは安くなることが多いはずです。

UAD Essentials Editionには以下の製品が収録されています。
  • Teletronix LA-2A Leveler Collection (3 plug-ins)
  • Pultec Passive EQ Collection (3 plug-ins)
  • Century Tube Channel Strip
  • Oxide Tape Recorder
  • Galaxy Tape Echo
  • Pure Plate Reverb
  • PolyMAX Synth
UAD Essentials Edition は、11 個の「必須」UAD プラグインとインストゥルメントを備えた、数十年にわたるクラシック アルバムで聞かれた豊かなアナログ トーンを、低価格で提供します。UA ハードウェアは必要ありません。



 テープシミュレータやリバーブ等、非常に絞られたバンドルで、いくつか必要な製品がある場合に(全て必要ではないにしろ)単品で買わずにまとめて買うとむしろお得といったメリットがあるバンドル。ピンポイントで欲しい際には非常に良いバンドルだと思います。


UAD Creative Editionの収録製品が、


  • Moog Minimoog Synth
  • Opal Morphing Synth
  • PolyMAX Polyphonic Synth
  • Ravel Grand Piano
  • Waterfall B3 Organ
  • Brigade Chorus Pedal
  • Galaxy Tape Echo
  • Pure Plate Reverb
  • Studio D Chorus
  • Waterfall Rotary Speaker 
UAD Mix Editionの収録製品が、


  • 1176 Classic Limiter Collection
  • Teletronix LA-2A Classic Leveler Collection
  • API 2500 Bus Compressor
  • API Vision Channel Strip Collection
  • Brigade Chorus Pedal
  • Century Tube Channel Strip
  • Galaxy Tape Echo
  • Hitsville EQ Collection
  • Hitsville Reverb Chambers
  • Lexicon 224 Digital Reverb
  • Oxide Tape Recorder
  • Pultec EQ Collection
  • Pure Plate Reverb
  • Studer A800 Tape Recorder
  • Studio D Chorus
  • Waterfall Rotary Speaker
UAD Diamond Editionに収録されている製品が以下になります。UAD Creative EditionとUAD Mix Editionを合わせるとUAD Diamond Edition全製品になります。このうち、UAD Creative EditionとUAD Mix Editionには何製品が共通している収録製品があります。緑色がUAD Mix Editionのみ収録されている製品、オレンジがUAD Creative EditionとUAD Mix Edition両方に収録されている製品です。無色はUAD Mix Editionのみに収録されている製品です。UAD Mix EditionはUAD Creative Editionのいわゆる完全な上位版ではないので注意してください。

UAD Diamond Editionに収録されている製品の内訳

  • 1176 Classic Limiter Collection
  • Teletronix LA-2A Classic Leveler Collection
  • API 2500 Bus Compressor
  • API Vision Channel Strip Collection
  • Brigade Chorus Pedal
  • Century Tube Channel Strip
  • Galaxy Tape Echo
  • Hitsville EQ Collection
  • Hitsville Reverb Chambers
  • Oxide Tape Recorder
  • Pultec EQ Collection
  • Pure Plate Reverb
  • Studer A800 Tape Recorder
  • Studio D Chorus
  • Waterfall Rotary Speaker
  • Moog Minimoog Synth
  • Opal Morphing Synth
  • PolyMAX Polyphonic Synth
  • Ravel Grand Piano
  • Waterfall B3 Organ
  • Lexicon 224 Digital Reverb
比較してみると楽器系はUAD Mix Editionには収録されておらず、UAD Creative Editionには一部空間系のコーラスやエコー、リバーブが収録されていますが、Lexicon 224 Digital Reverbは収録されていません。この製品は重要なハードウェアモデルをエミュレートしている貴重なプラグインですし、おすすめできるUADプラグインの一つなので結構重要です。(これは結構人気のあるプラグイン等で選択に大きくかかわってきそうですね。)
引用元:Universal Audio

「UAD Creative Edition」「UAD Diamond Edition」「UAD Creative Edition」「UAD Mix Edition」どのバンドルを選ぶのが正解か

収録されている単品それぞれの価格帯が最安値の価格でおおよそ74~174ドルの範囲にあります。AD Diamond Editionは確かに最も割引されて入手できるので、1つか2つ使わないであろう製品があったとしてもトータルで見れば安く入手できるケースも多いかと思います。
ただし、網羅している製品はかなり広範囲に及ぶので、制作するジャンルによってはあまり使わないものが収録されている可能性があるのも事実。そのため、どのプラグインの種類やカテゴリーを強化したいかによってUAD Diamond Edition、UAD Mix Edition、UAD Creative Edition(公式定価順にS799 S559 $349)から選択するのが賢いかもしれません。
UAD Creative Editionはどちらかというと単品購入の延長線上にあるバンドルで、単品で買ったらいろいろ付いてきた、といった感覚で入手したいバンドルだと思います。網羅性よりもお得なバンドルといった印象。
作曲メインでウェイトを大きく置いておりサウンドメイクや楽器にこだわって人にとっては、UAD Creative Editionには一通りの楽器と空間系アナログモデルがそろっているのでこれで十分なケースもあるでしょう。コンプやEQ等、1176やPulteq EQ等知名度の高いものはともかくとして、ミキシングエフェクトの中には必須でないものが多い感じてUAD Diamond Edition優先度が低くなるかもしれません。(また、この2つのバンドルの価格差が大きいといったことも理由になります。)

 逆にミキシングやマスタリング作業に特化してこだわっている人にとってはコーラス系を必要とする人も多いかと思うので、それらを安く手に入れるためにUAD Creative EditionではなくUAD Diamond Editionに行くのも悪くない選択肢かもしれませんね。(差額が約150ドルほどで最安値のセール価格でUADプラグイン1, 2製品の価格ほどの差なのでUAD Diamond Editionでまとめて入手した方がお得かもしれません。)

全製品を一通り精査した中で、これらの中でも特に多くの人が他社の似たようなプラグインと比較してこれってどうなの?と気になっているであろうプラグインや、評価に値するであろうプラグインを中心に抜粋してまとめました。広く浅くではなくピンポイントに詳しく。(今後使っている上で発見があることも十分に考えられるので更新する可能性も十分にあります。また、ここで取り上げている製品と取り上げられていない製品に質の良し悪しは一切関係ありません。使う前と使った後で大きく印象がプラスに変わったものや発見のあったもの、驚いたもの等を中心に取り上げています。また、製品の性能ではなく「好み」の問題が大きく関わってくるような製品はあえてピックアップされていないものもあります。)

おすすめのUADプラグイン


おすすめがあるかと言われると個人的に好きなプラグインはいくつかあるのですが、様々な音楽ジャンル(また、音楽に限らず様々なオーディオのプロダクションも)あるわけで全てのひとにおすすめなものを挙げるのは難しいと思っています。ということで発想を変えて製品の内容を踏まえた上で今後幅広い層で人気がでそうな印象のあるプラグインを挙げます。Moog Minimoog、Opal Morphing Synth、1176 Classic Limiter Collection、Lexicon 224 Digital Reverbあたりでしょうか。もちろんここには実機の知名度といった観点も関わってきていますので良し悪しの問題ではないことは補足しておきます。。



UAD Creative Editionに収録されている製品のレビュー

Ravel Grand Pianoのレビュー





Ravel は、Steinway Model B グランド ピアノの息をのむようなエミュレーションです。* UA の業界をリードするフィジカル モデリング テクニックに基づいて構築された Ravel は、他のピアノ プラグインやサンプル ライブラリをはるかに超えて、前例のないリアリズムを実現し、アルバム対応のサウンドと感動的なプレイアビリティを提供します。 — ポップからロック、R&B からヒップホップまで、現代音楽の制作に最適です。

特徴
  • かつてないほど有機的で反応がよく、表現力豊かなソフトウェア ピアノを演奏して録音する
  • 比類のないリアリズム、ダイナミックな感度、および音色特性のためのハーネス UltraResonance™ テクノロジー
  • United Recording の Allen Sides が巧みに配置した、クローズ マイクとルーム マイクを簡単にミックス
  • スリリングなテクスチャーと忘れられない雰囲気を追加できる独自のリバース ピアノ サウンドでトラックをアニメーション化
Ravel Grand PianoはSteinway Model Bのモデリング音源。ディスクスペース総容量が10GBほど要求されたので純粋なサンプルライブラリではないようですが、完全な物理モデリングでもないかもしれませんが詳細は不明です。ロードに少し時間がかかります。(Pianoteq 8はロード等の時間はほとんどないため、異なる設計で音源が鳴っている可能性が十分にありますね。)UIは一画面でパラメータは以下の通り。大変シンプルです。


音色は大変リアルですね。Pianoteq 8の同モデルと比較してみましたが、Pianoteq 8の方がパラメータが多く(楽器の構造に関するパラメータやマイクセッティングもできるようになっています。)Ravel Grand Pianoはマイクの距離や、ダイナミクス等よりおおざっぱなパラメータとなっています。音は全体的に近くデフォルト設定ですと音圧と空間が感じられる印象がありました。Ravel Grand Pianoはベースとなるマイキングが全体的にクラシック寄りといいますか、滑らかです。



逆に音のアーティキュレーションに関してはRavel Grand Pianoはかなり繊細にヴェロシティを元に表現できるようで、パッセージに生演奏感や表情がより色濃く出ているように感じられました。クールジャズやクラシカルな演奏にはよさそうです。また、リバースFX機能が付いているのもユニーク。

Moog Minimoogのレビュー


Moog社のMinimoog Model Dをエミュレートしたシンセサイザー。 実機はこのようになっています。3基のオシレーター、モノフォニックのアナログ・シンセサイザー。オリジナルはこのようになっています。




Moog MinimoogはMoog Musicと専属で提携して設計されたというオーセンティックなエミュレーションになっています。 

Moog Minimoog Model D は、間違いなくこれまでに作られた最もアイコニックなシンセサイザーであり、現代音楽の様相を一変させました。KraftwerkからParliament-Funkadelic、Yes to Dr. Dreまで、Minimoogのファットで音楽的に表現力豊かなアナログシンセサウンドは、他のすべてのシンセを判断する基準となっています。Moog Music と提携して Universal Audio 専用に開発された Moog Minimoog は、Universal Audio の業界をリードする回路モデリング、シンセシス、および信号処理の専門知識を使用して、オリジナルのハードウェアのあらゆるニュアンス、異常、癖を徹底的にキャプチャします。


他の追随を許さないような音のざらつきとシェイプの解像度と質感が感じられます。太さというよりも生もの感といいますか。あたかも本物の音の塊が目の前に置かれているかのような錯覚を受けます。電気信号がもたらす細かなディテールまで知覚できるのはMoogが認めているだけあるでしょう。エミュレーションはもうここまで来ているのかと。さらにModifierによる音の変化が非常に生楽器を演奏しているかのような複雑な変化が再現されています。間違いなくUADのヴァーチャルインストルメントの中でも目玉の一つだと思います。




特徴
  • クラシックなミニモーグ テクスチャをほぼゼロのレイテンシでリアルタイムにレコーディング
  • モジュール間の正確な相互作用により、超リアルで応答性の高い Minimoog サウンドを実現
  • Moog の特徴である自己発振と極度の共鳴で別世界のサウンドを作成
  • 切り替え可能なノートの優先順位、レガート、追加の LFO などを含むカスタム MOD を活用
Minimoogは他にも様々なのエミュレーションが多数リリースされていますが、例えば、同じアナログモデリング系のArturia Mini V3と比較するとあちらも音に重量感が感じられるものの同じ設定で所謂ぶりぶりしたトライアングル系の波形を鳴らしてみても優等生的で美しくクリーンな印象があります。Moog Minimoogは完全に野獣です。留まることを知らないといいますか突き抜けているので、ハードな電子音楽にはたまらないでしょう。スクエアウェーブから創り出す音色もアタック感が鋭くはなく、ぼやけてもなくという絶妙な質感になっています。その他Arturia Mini V3は通常のプラグイン同様ノブをUI上で選択してMIDI Learnがすぐできるのに対し、Moog Minimoogは(Studio Oneの場合は)UI上で設定できるわけではなさそうで、DAW上の設定からセットアップしなくてはいけないようです。

どちらも魅力があり用途次第といった印象もありますが、この音を一番聞かせたいという聴き所や主役が欲しいならMoog Minimoogが上手かもしれませんね。

Waterfall B3 Organのレビュー

Waterfall B3 Organ は、古典的な Hammond B3 オルガンと、それに対応する Leslie 147 ロータリー スピーカー キャビネット* を世界で最も完全にエミュレートしたものであり、何十年にもわたる伝説的なアルバムで聴かれたのと同じ豊かなトーンと立体的なサウンドをあなたの音楽にもたらします。

特徴
無数の R&B、ソウル、ロック、ヒップホップ、ゴスペルのヒット曲で聴かれた、伝説的な 1958 年のトーンホイール オルガンのサウンドを手に入れましょう
1974年ヴィンテージのロータリー・スピーカー・キャビネットの豊かで立体的な渦巻きを体験してください。
夢のようなスプリング リバーブと完璧に配置されたビンテージ マイクのセットアップを活用
伝説的なオルガン・サウンドを即座に提供する、専門的に作成された 70 を超えるプリセットでインスピレーションを得る

ハモンドオルガンの有名な Hammond B3 オルガンのエミュレーション。ソウルやRnB、ゴスペルではおなじみの楽器ですね。こちらの音源も様々なメーカーからエミュレーションがリリースされていますが、有名どころを中心に使ってみて比較したところをまとめていきます。(今後より詳細に比較した内容を執筆する予定です。)有名どころでいうとArturia B 3やIK Multimedia Hammond B3-Xあたりでしょうか。特にIK Multimedia Hammond B3-Xあたりはかなり評判も高いようですね。これらを比較した際にデフォルトの音色でいうとArturia B3が最もコンパクトで小粒な小回りの利くタッチ。
また、Advanced Settingモードでトーンホイールプロファイルを選べたりもします。


逆にIK Multimedia Hammond B3-Xは思った以上に音がにじみ出るような太ったサウンド。Universal AudioのWaterfall B3 Organ はその中間を行くようなパーカッシブではあるけれどもおとにボリューム感もあるといった印象。


IK Multimedia Hammond B3-Xは細かく刻むような歯切れのよいパーカッシブサウンドを出すのがやや難しい印象を受けたので個人的な印象としてはこの中では一番使い勝手が良い素材を持っているように思われました。


IK Multimedia Hammond B3-Xはマイク位置の90度180度の2ポジションで距離を調整できるのに対し、Waterfall B3 Organはマイクの種類とHorn Drumのマイク位置とブレンドを調整できる等より細かく設定できます。空間を再現する精度が高いということですね。一方でIK Multimedia Hammond B3-Xはロータリースピーカーの回転速度等を調整できたり、アンプやキャビネットの種類を変えたりとカスタマイズができるようになっています。

Opal Morphing Synthのレビュー


Opal は、プロデューサー、サウンド デザイナー、ミュージシャンに最適な壮大なサウンドのフラッグシップ シンセです。このアナログとウェーブテーブルが融合したシンセは、巨大なサウンドのモーフィング フィルターと強力な UA エフェクトを提供します。

これまでサブスクリプション限定製品であったため、ユーザーもさほど多いとは言えなかったシンセサイザー。このシンセサイザーはエミュレーションではなくアナログとウェーブテーブルのハイブリッドシンセサイザー。アナログウェーブテーブルから選択可能な3つのオシレータとノイズオシレータが用意されていて。アナログオシレータの波形アイコンを上下することによって波形をモーフィングしてシェイピングをすることが可能。オシレータ―が面に線描されている線にそってシェイプが変化していきます。これはかなり使いやすい画期的な機能。
波形がリアルタイムで動くため、イメージもしやすく、難しい操作なしにポチポチと音をデザインすることができます。(UIはArturiaのPigments 4に雰囲気は近いですが、あちらよりもさらに直感的な印象を受けました、)出音もUADシンセエミュレーションでおなじみのアナログサウンドが踏襲されており、単に太いだけでなく、生々しさのある生きたサウンド。




また、アンビエンスやビンテージ スプリング リバーブ、テープ ディレイ、モジュレーション、UAのモデリング技術に基づくエフェクトが搭載されているので、エフェクト処理も充実しています。フィルターセクションでも同様にフィルターパターン(こちらもアナログモデルに基づくのでしょうか?)をモーフすることによって、より精細なサウンドデザインをすることが可能。
アナログシンセの音をそのまま現代のシンセに搭載したような操作性です。アナログサウンドが好きでモダンスタイルをいった人にはうってつけかもしれませんね。





特徴
  • 世界最高のサウンドのアナログとウェーブテーブルが融合したスーパー シンセから、巨大で感動的なサウンドを手に入れましょう
  • モーフィング フィルター、オシレーター、LFO、ノイズを使用して、新しい創造的な道を切り開く
  • ビンテージ スプリング リバーブ、テープ ディレイ、モジュレーション、本格的な 1176 コンプレッションなど、スタジオ品質の UA エフェクトを追加
  • 完璧に作成されたプリセットのおかげで、道に迷うことなくシンセシスに深く入り込むことができます

Galaxy Tape Echoのレビュー



有名なRoland RE-201 Space Echoのエミュレーションプラグイン。
1973 年、Roland は RE-201 Space Echo* を開発しました。このテープ ディレイ/スプリング リバーブ システムは、温かみがあり、歪んだ、あからさまなアナログ エコー効果を生み出します。微妙なテープの質感から心を揺さぶるカオスまで、この象徴的な仕掛けは、クラシックなピンク・フロイドやデヴィッド・ボウイから、キング・タビー、サイエンティスト、リー・“スクラッチ”・ペリーの影響力のあるダブ・サイドまで聞くことができます。Galaxy Tape Echo プラグインは、象徴的で伝説的な 70 年代のユニットの徹底的なエミュレーションであり、刺激的なハードウェアの物理的な動作を、その歪み、音楽的なワウとフラッター、SF ピッチ シフト、リアルタイムに至るまで巧みにキャプチャします。微調整可能。
他のエミュレーションと比較して、とにかくデジタルにはないハードウェアの動きを再現するのにより徹しているといった印象で、パラメータ設定ごとにどれも一つとして同じ結果でなく、音の質感やテイル全てにおいて微妙に異なるフィードバックが得られます。単なる反復ではなく、全く新しい生の別の音が生まれているようで、エコーの動きが生楽器のごとく複雑な音響をもたらしており、細部まで聞きたくなるようなプラグインです。各音の発音の度に生まれるエコー成分を毎回最後まで聴かせたくなるような。


UAD Mix Edition、UAD Diamond Editionに収録されているプラグインのレビュー

1176 Classic Limiter Collectionのレビュー





もはや知らない人は皆無であろうほどには名の知れ渡った高速FETコンプの1176。オリジナルハードウェアを同社がエミュレートするという非常にオーセンシティの高いエミュレーションです。

ける大きなブレークスルーを表しています。ソリッドステート回路と 20 マイクロ秒の超高速 FET ゲイン リダクションを備えた最初のコンプレッサーである 1176 は、使いやすい「無人島」コンプレッサーであり、歴史上最も偉大なレコーディングのいくつかにそのキャラクターとパンチを与えてきました。2001 年にリリースされた UA の最初の 1176 プラグインは、単独で UAD プラットフォームを立ち上げました。2013 年の広範なエンドツーエンド回路モデリングにより、さらに多くの音のニュアンスが捉えられました。グラフィックが更新され、コントロールが追加された 1176 Classic Limiter Collection は、優れたアナログ モデリングの伝統を継承しています。2001 年にリリースされた UA の最初の 1176 プラグインは、単独で UAD プラットフォームを立ち上げました。2013 年の広範なエンドツーエンド回路モデリングにより、さらに多くの音のニュアンスが捉えられました。グラフィックが更新され、コントロールが追加された 1176 Classic Limiter Collection は、優れたアナログ モデリングの伝統を継承しています。


特徴
  • UAD Native と Apollo Realtime/UAD-2 の両方のバージョンが含まれているため、任意のオーディオ インターフェイスを使用できます。
  • 最もポピュラーなコンプレッサーである伝説の 1176 の入念なエミュレーションでトラックとミキシング
  • Rev A、Rev E、AE の 3 つの有名なバージョンから選択してください。それぞれに独自の音響特性があります。
  • 1176 のトランスと FET およびトランジスタ アンプを含む電子経路全体を利用して、カラフルな歪みを実現
  • カラフルなオーバードライブ テクスチャの「All-Button」または「No Ratio」モードにアクセス
  • ヘッドルーム、ミックス、カスタム サイドチェーン フィルターのコントロールを拡張し、低域のポンピングを軽減
  • Andy Johns、Andrew Scheps、Ed Cherney、Joe Chiccarelli などの伝説的な 1176 ユーザーのプリセットとミックス

1176 Classic Limiter Collectionは、オリジナルの 1176 に対する 3 つの異なる 1176 リビジョンが用意されています。。

Rev A のSilverface Bluestripeといわれるヴァージョンは、オリジナルのパトナム FET リミッター デザインを表し、より高い歪みと独自の FET ゲイン アンプを備えています。

Rev E「ブラックフェイス」は、70 年代初期のブラッド プランケット「LN」(ロー ノイズ)時代をカバーし、よりリニアなコンプレッション レスポンス、トランジスタ ゲイン増幅、プログラム依存の変更などのバリエーションがあります。


1176AE は、UA の珍しい 1176 40 周年記念エディションを提供し、2:1 の低い圧縮比を含む独自のモッドを完備しています。

それぞれのリビジョンの主な違いは、ゲインステージとタイム・コンスタンス(アタックタイム/リリースタイム)、そしてTHD(トータルハーモニックディストーション)とノイズレベルです。





Ratioはノブではなくボタン。4 つの Ratio ボタンは、ゲイン リダクションの度合いを決定します。低い比率では圧縮、高い比率では制限します。通すだけで色合いが付くタイプなので、すべてのRatioボタンを外すと、圧縮が無効になりますが、信号は1176回路を通過し続け、紛れもない色が追加されます.

また、名物の全部押しも用意されています。有名な「オールボタン」サウンドを含む、ハードウェアで可能な「マルチボタン」の組み合わせがプラグインで実現可能になりました。と機能面ではさほど拡張されたものがあるわけではありませんが重要なのは音。
1176は他社でも様々な製品がリリースされています。ということでいくつか比較してみて。(詳細な比較は今後個別の記事で大々的に取り上げるかもしれません。)ユーザーが多そうなWaves CLA-76とIK MultimediaのT-RackS Black 76 Limiting Amplifierを参考に取り上げてみました。

まずは有名どころのWaves CLA-76。

モデルは2種類です。Silverface BluestripeとBlack Faceの2種類。CLA-76ではオリジナルのプリアンプのノイズまでもモデリングされているのが共通なのですが、ノイズのオンオフが選択性なのが特徴。
  • リビジョンB:クリスの個人的なお気に入りのリビジョンB。「Silverface Bluestripe」と呼ばれることもあります。モデルを使用してモデリングが行われました。
  • リビジョンD-LN(ロー・ノイズ):ブラックフェイスとも呼ばれるリビジョンD-LN。76と呼ばれるコンプレッサーの中でも最も有名なバージョンは、このリビジョンD-LNでしょう。
CLA-76はどちらも圧縮した時にあたたかみがくわわり音が一回り膨らむような印象。原音と比較してみて付加される成分は十分感じられるものの本当に一回り変わるといった具合で自然です。実は意外に使いやすいかもしれません。


逆に1176 Classic Limiter Collectionはどれも高調波の付加が聴覚的に如実に表れているのが分かります。(耳で聴いた印象で思ったのですが、印象だけだと不安なので計測したところ例えば、Silverface Bluestripeの場合、CLA-76よりも1176 Classic Limiter Collectionの方が少ないインプットから既に高次倍音まで出ていました。)高調波のざらつきのある成分が出てくるので積極的に音をアグレッシブにするのには良いかもしれません。ミックスの中での音の広がりもCLA-76よりものびやかに積極的に広がる印象があります。
IK MultimediaからリリースされているT-RackS Black 76 Limiting Amplifierとも比較してみましょう。

T-RackS Black 76 Limiting AmplifierはIK Multimedia の開発者をして「このFETコンプのアタックの速さを本当に再現しているプラグインは存在しない。私たちは初代T-RackSの開発以降、ギターアンプ、ストンプを含めたモデリング技術を数年磨いてきた結果、やっとでここまで到達することができた」と語る自信作。



T-RackS Black 76 Limiting Amplifierは1176 Classic Limiter Collectionよりもさらに歪みのようなざらつきを大味にしたような印象があります。Gain Matchの状態で測定しても明らかに上記2製品とは異なる聴覚作用が生まれています。ロック等のがっつり潰すのには適正ありかもしれません。ただしその高調波成分の粒の細かさは1176 Classic Limiter Collectionの方がより精細だと思います。コンプレッション時の音像の変化もUAD以上に大きくみられます。サチュレーションをおもわせるような膨らみ方。
比較してみると1176 Classic Limiter Collectionはアナログハードウェアの繊細な作用を音の変化をしっかり音に反映させる上ではかなり優れたエミュレーションであるといえるかもしれませんね。

Lexicon 224 Digital Reverbのレビュー




1978 年にリリースされた瞬間から、Lexicon 224 Digital Reverb は、触覚に優れたスライダーベースのコントローラーと豊かなリバーブ テールを備え、一時代のサウンドを独力で定義しました。トーキング ヘッズの Remain In Light から U2 の The Unforgettable Fire まで、Lexicon 224 は常に最も人気のあるデジタル リバーブ ユニットの 1 つです。Lexicon 224 Reverb プラグインを使用して、オーディオの歴史のこの特異な部分を追跡およびミキシングできるようになりました。

Lexicon 224 の最終的な入手困難なファームウェア バージョン 4.4 に基づき8 つのリバーブ プログラムすべてとコーラスプログラムを再現しています。 Lexicon 224 は初期のデジタルリバーブで、当時はもちろん現在でも大変高額なスタジオリバーブ。ちなみに、LEXICON 480Lは後続機です。入力トランスと初期の AD/DA 12 ビット ゲイン ステッピング コンバーターも搭載。Lexicon 224ハードウエアの固有のノイズがON/OFFできるため、実機の雰囲気を再現することも可能。これは積極的に音を色付けする上では外せない機能ですが、取捨選択できるのはありがたい。

リバーブテールのバスとアッパー周波数帯を分けるクロスオーバー周波数(スプリットポイント)を決めるクロスオーバーが用意されているのも特徴ですね。モードエンハンスメントという各ルームモードでリバーブテールが鳴りすぎるのを防ぎ、より自然なプログラムになるようにする機能も搭載。Decay Optimizationではリバーブのディフュージョン(リバーブでのエコー密度が時間経過につれどれくらい急速に増していくか)とカラーをダイナミックに減少させ、Lexicon 224 リバーブにクリアでナチュラルな雰囲気を与える機能もあり。IMMEDボタンを押すとリバーブ設定を維持したまま、リバーブアルゴリズムモデルだけを変更できます。

総じてデジタルアルゴリズムの挙動(便利機能)に任せる動作が多いエミュレーションプラグインです。エミュレーションが少ないのでそれだけでも貴重ですが、注目すべきは音。世界中のあらゆるスタジオに80年代導入され、80年代のドラムマシンサウンドを築いたともいわれていますが、全体的に空間的に広がりがあり、高音の伸びもくっきりと余韻として残ります。深いのに音が無秩序に飽和したようないわゆるお風呂状態にならず、各アルゴリズムのキャラクターがしっかり残ります。Large Hallであってもそれがしっかり維持できているのは驚きですね。また、デジタルでありながら現実空間のようなリアルな響き(実際の物理現象との差異はともかく、一般的に認知するレベルで)がしっかり感じられます。アルゴリズムの功績だけでなく、エミュレーションにおける再現度の高さも貢献しているはずですね。間違いなくネイティブ化されたプラグインの中でも目玉の一つでしょう。



特徴
  • UAD Native と Apollo Realtime/UAD-2 の両方のバージョンが含まれているため、任意のオーディオ インターフェイスを使用できます。
  • オリジナルのハードウェアと同じアルゴリズムを使用して、伝説的な Lexicon 224 Digital Reverb でトラックとミキシング
  • ドラム、ボーカル、ギターなどに 8 つのクラシック リバーブ プログラムと 1 つのコーラス プログラムを採用
  • 80 年代のビンテージ サウンドに Plate および Concert プログラムを使用
  • 有名な Lexicon 224 ユーザーの Chuck Zwicky (Prince)、Kevin Killen (Peter Gabriel) などのプリセットとミックス

Hitsville Reverb Chambersのレビュー



Hitsville Reverb Chambers は、モータウン サウンドを形作った屋根裏のリバーブ チャンバーの輝かしいサウンドを提供します。Universal Audio からのみ入手可能な Hitsville Reverb Chambers は、マーヴィン・ゲイ、スティービー・ワンダー、ザ・シュープリームスのプロデューサーが使用した、これらの神聖な空間の魂のこもったアンビエンスをレコーディングに与えます。

 Motownのレコードで多用されたHitsville USAスタジオの上にある屋根裏のリバーブチャンバーをエミュレートしたリバーブプラグイン。

チャンバーは2種類用意されており、スピーカーとマイクを選択することができます。


マイク距離も変更することができるため、かなり柔軟に残響の度合いを調整することができるなど自由度が高くなっています。マイク距離の変化による音響の変化もリアルにシミュレートされている印象肝心のリバーブはまさしくMotownそのままといったところで、暖かみがありのびやかであり、スムーズながらも響きが飽和しすぎることのない薄いべールやシルクのような質感。他社からリリースされていない唯一のプラグインであることも考えれば、Motown系のスタイルが好きな人にとっては外せないプラグインであることは間違いないでしょう。(これに似たような響きのリバーブは探せばもちろんあるかもしれませんが、こだわりたい人にとっては「代用」はあくまで代用にしかならないはずなので。)こうしたトレードマークとしての観点を省いたとしてみても非常に音楽的なので気に入る人も多そうですね。





特徴
  • UAD Native と Apollo Realtime/UAD-2 の両方のバージョンが含まれているため、任意のオーディオ インターフェイスを使用できます。
  • 伝説のHitsville USAスタジオの上にある屋根裏のリバーブチャンバーから即座に「Motown Sound」を手に入れましょう
  • 2 つの異なる特注チャンバーを使用して、豊かなサウンドのアンビエンスを調整
  • シンプルなコントロールで、象徴的なリバーブをボーカル、ドラムなどにすばやく追加
  • UA のダイナミック ルーム モデリングを使用してリアルタイムでマイクの位置を変更


Pultec EQ Collectionのレビュー



70 年以上のポピュラー ミュージックで使用されてきた伝説のビンテージ チューブ EQ を使用して、ボーカル、ドラム、ギター、シンセにアナログの命を吹き込みます。これらの EQ を介してフル ミックスまたは単一のインストゥルメントを実行するだけで、見事な Pultec アナログ マジックを自分で聞くことができます。これらの驚くほど正確な EQ は、オリジナルのアナログ ハードウェアとほとんど見分けがつかず、John Mayer、Daft Punk、Mariah Carey などのプロデューサーが使用したのと同じ豊かなトーンを提供します。




特徴
  • UAD Native と Apollo Realtime/UAD-2 の両方のバージョンが含まれているため、任意のオーディオ インターフェイスを使用できます。
  • ビンテージ Pultec EQ の世界最高のエミュレーションで「アナログ マジック」を即座に手に入れましょう
  • EQP‑1Aでファットでパンチの効いたベース、シンセ、ドラムを作成
  • MEQ-5 でギター、ボーカル、キーの豊かなミッドレンジ テクスチャを体験してください
  • HLF‑3Cを使用して、レトロなフィルター効果を作成したり、不要な周波数を正確に削減したりします
EQP‑1A、MEQ-5、HLF‑3Cの3種類のモデルが用意されています。音の特徴としてはブーストカットどちらも音のパンチや性格を変えないまま音の解像度が鮮やかに変わる点。ズームとズームアウトといったところでしょうか。ブーストするとざらざらとした質感が感じられ、前に出てくる印象を受けますが、あくまで自然です。減衰させたとしても音痩せをさほど感じさせる異なるピアノのミュートペダルのようにナチュラル。Pultec EQは様々なメーカーからエミュレーションがリリースされていますが、この特性の再現はWaves等の他社エミュレーションと比較して光っているように思われます。レコーディングした生の収録素材をできるだけ活かしてミックスしたいときにも重宝します。挿した際に音が大きく変わる味付けの強さは他社エミュレーションと比較して大きくありません。


総評価

全体的に妥協が感じられない製品が詰め合わせられている印象を受けます。有名どころのエミュレーション一つ一つが他社のプラグインの質と比較されることを前提にこだわって設計されているからなのか、とりわけ有名な実機のエミュレーションは頭一つ抜けているものが多いのも事実。また、それぞれのプラグインのプリセットがデータベース上になっており、ジャンルや音色のカテゴリーから探せるようになっているのは制作側サイドとしては大変好感度が上がります。(プルダウンは率直に言うと使いづらいのでデータベース式になっているとそれだけで株が上がります。)単体だとものによっては高価なものも多い印象ですが、バンドルが登場したことによって、必要なプラグインセットを破格の価格で手に入れられるようになったのは追い風ですね。


セール情報と最安値

最安値はUAD Essentials Editionが49ドル。Creative 199ドル、MIX Editionが199ドル、Diamonx Editionが399ドル。時折破格のセールが行われていることがあるので定期的にチェックしてみてください。