【Review】Eventide「SplitEQ」レビュー(パラメトリックEQ、機能、他のEQとの差分等)
メーカー情報
SplitEQ は、補正的で創造的なオーディオ イコライゼーションへの新しいアプローチを提供する画期的な EQ です。あらゆる音楽ソースやオーディオ信号の強化、修復、再調整、拡張に優れています。SplitEQ は、特に厄介な問題を修正するための手術用ツールであると同時に、刺激的な新しい音楽の可能性を開くクリエイティブなツールでもあります。EQ は単なる EQ ではありません。新しく優れたツールです。一見すると、8 バンドの正確な音楽フィルターを備えたパラメトリック EQ です。新しくて異なるのは、Eventide の強力な Structural Split エンジンが、入力オーディオを個別の Transient ストリームと Tonal ストリームに分割し、8 バンドの「Split」パラメトリック EQ に供給することです。このアプローチは音楽的に有用であり、複雑なミックスであっても、一般的な EQ 問題を簡単に解決できます。
EQ をトランジェントとトーナルに別々に適用することで、EQ、コンプレッション、トランジェント デザイナー、ディエッサー、マルチバンド コンプレッション、空間プロセッサー、またはダイナミック EQ の複雑な組み合わせによって通常試みられる問題の多くを修正できます。ワークフローを簡素化して整理し、より良い結果を得て、新しいサウンドを作成します。SplitEQ は、やりたいことと実際にそれを行う方法との間の距離を縮め、他の EQ のトレードオフを減らします。キックドラムを低めにブーストすると、美味しい音ではなく濁りが生まれます。低い男性ボーカルのローカットは破裂音を取り除きますが、ローエンドの豊かさを犠牲にします. SplitEQ は、魔法を失うことなく、追加のツールを必要とせずに、サウンドの問題のある部分に対処するための外科的制御を提供します。
SplitEQ は単なる修正ツールではなく、独立した L/R とミッドサイドのパンニングによってミックスを新たな高みに引き上げる新しいタイプのクリエイティブ ツールでもあります。SplitEQ を使用すると、すべてのソースが音響的に異なる要素のペアに分割され、音楽、ミックス、およびオーディオ信号に並外れた新しいレベルの音楽性がもたらされます。
引用元:SplitEQ
画面を見るとローパスハイパス6つのバンド合計8バンドが用意されています。それぞれの帯域にはトランジェントとトーンの2ポイントが用意されており、それぞれのポイントを設定できます。ホイールでQ幅調整できる点等は似ています。Windowsの場合Alt+Ctrlでポイントをクリックすることでその箇所をソロモニタリングすることも可能。その帯域のトランジェントのみ、トーンのみで聴くことができるということですね。インプット全体のトランジェントとトーンをそれぞれソロで聴くこともできます。トランジェントとトーンのGainを調整することができるのも良い。かなり込み入った処理ができるトランジェントシェイパーとして使うこともできそうな気がするのですが、どうなのでしょう。
特徴
- 純粋な音楽フィルターを備えたワールドクラスの 8 バンド パラメトリック EQ。
- Eventide の特許取得済み Structural Split™ テクノロジーを使用して、サウンドのトランジエント部分とトーン部分を別々に EQ します。
- トランジェントおよびトーン出力レベルを制御します。
- 連続的なトランジェントおよびトーナル パン コントロール (L/R および Mid/Side モード) でステレオ フィールドを強化します。
- 微調整と実験のために、基盤となる Split テクノロジーを制御します。
- EQ カーブをまとめて、または個別にグローバルにスケーリングします。
- ピーク、ノッチ、バンドパス、ハイ シェルフ、ロー シェルフ、チルト シェルフ、ハイ パス、およびロー パス フィルター タイプ。スロープは 6 ~ 96 dB/オクターブです。
- 革新的なリアルタイム スペクトラム アナライザーは、トランジエント ストリームとトーナル ストリームを個別に表示します。
- 包括的なプリセット ライブラリには、150 以上のプリセットが含まれています。
- A/B ボタンを使用すると、2 つのプリセットまたは設定をすばやく試聴でき、元に戻す/やり直す機能も備えています。
- ズーム オプションを備えたサイズ変更可能な GUI。
機能紹介
まず要は何ができるかといったところから始めましょう。SplitEQの唯一無二の機能であり目玉ともいえるトランジェントとトーンの分離機能。Structural Split™ テクノロジーを使用して、サウンドのトランジエント部分とトーン部分を別々に EQできるようになっています。ざっくりいうとトランジェントは音の立ち上がりからヒットまで、トーンはそれから減衰するまでのことを指すのですが、それを別々に処理できるということです。例えば、キックのヒットの際にアタック感はそのままでいいのだけどその後がぼわついているといったことがあったとします。その際に通常のEQですと、一斉にLOWを処理するとパンチが失われてしまったりうまくいかないこともあります。それをヒットの部分をそのままにその後の余分な膨らみをカットしたりすることができるということですね。また、良く響く楽器(マリンバ等)の余分なトーンを抑えめにする等の処理ができるようになるということです。トランジェントとトーンをどのように分離するかその割合を設定することもできます。
ポイント近くの帯域の範囲をクリックしながら上下するとトランジェントとトーンのポイントが同時に連動して動かすこともできます。この操作は大変便利ですね。ポイントをダブルクリックするとトランジェントとトーンのポイントが同じ位置に移動します。(通常のEQの状態になります。)
そして、SplitEQの機能2つ目がパンニング機能。
このようにパラメータが多く複雑そうですが、総じて操作性も良いので意外に直感的に操作できるのは良いことです。
まとめ
まず注意してほしいのがSplitEQは万能EQとは異なります。このEQがあれば他のEQは必要ないというタイプのプラグインではありません。通常のEQではうまくいかない事例の時に秘密兵器として使用するものです。通常のEQの処理の後(あるいは前)に併せて使用するケースが多いかと思います。
また、通常のEQに慣れていない人は使いこなすのはかなり難しそうに感じました。単純計算でバンドの2倍パラメータがあります。初めて使う製品としてこれを選ぶのはおそらく違います。一方でメインで使用するEQを持っている人は他のEQではできない高度な処理ができるので是非とももっておきたいEQだと思いますね。EQを使用している時にここでSplitEQの出番だなと思う時が多々あります。
このプラグインの使用用途ですが、これを使用することで録音したオーディオはもちろん、ヴァーチャル音源をミックスごとに最適な音色にエディットすることで、用途を広げ、使える音源に変えることができます。音自体は良いのだけど混ぜるとうまくいかないといったときに自分の思いのままの理想の音に変えることによって使える状態にできる。これはなかなか有能ではないでしょうか。
また、トランジェントとトーンで別々のパンニングができるのはかなり面白い。トランジェントを狭めの音像でトーンを広げたり、左右に振ってみたりとかなり攻め入ったミキシングができるのはこの製品ならではの機能であるといえるでしょう。EQ処理だけでなく、ステレオイメージまで新しい試みができるのは隠れた強力な機能。
バンド数が8バンドであることについてですが個人的にはあまり不自由はないですね。トーンとトランジェントを8バンド以上使用しないと解決しない状態ってそもそものオーディオに問題があるといいますか結構異常だと思うのです。まあバンド数がもっとあったらそれはそれでありがたいことにはありがたいですが。
欲しい機能としてはやはりダイナミックEQ機能ですかね。ここのメーカーはアップデートするメーカーなのでアップデートで追加してほしいものです。
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