最強のソロヴァイオリン音源を探してみる【ヴァイオリンソロ音源の比較】


最強のソロヴァイオリン音源を探してみる【ヴァイオリンソロ音源の比較】


ポピュラー音楽においてストリングスセクションは曲の雰囲気をガラッと変えてしまう重要なパート。オーケストラ楽器の中でトップクラスに重要な楽器がヴァイオリン。

無数のストリングス音源があるなかで、独奏ヴァイオリン音源でよい音源はどれなのか気になりました。まず、大前提としてオーケストラの中でのヴァイオリンと独奏あるいはカルテット等小編成のヴァイオリンでは別物であるということです。オーケストラとして聴いてよい音源がソロでも成立するとは限りません。そもそもマイクポジションが異なります。そこらへんを混同して音の良さを比較してもあまり意味がないかと思いますので。
またどこを見て評価するのかというのも大変重要です。サンプル容量も確かに重要ですが、それだけで評価することはもちろんできません。どの楽器をどのように収録しているのか、サンプルをどのようにプラグインの中で切り替えるのか、アーティキュレーションをどのように処理するのか、どのような技術が使われ、便利な機能が備わっているのか。
また、好みはそれぞれかと思いますのでここでは内容の比較に留まり、胡散臭くなるのでどれが最も良い等のおすすめはあえてしません。各々が聴いてみてびびっと来たものが見つかればうれしいです。

独奏ヴァイオリンとして聴いた時どうなのかといった観点で比較してみます。つまり一本で聴かせられる音源ということですね。随時更新していきます。


Audio Modeling SWAM Violin V3



市場で最も現実的で、リアルタイムで制御可能な、表現力豊かなバーチャル バイオリンです。当社の SWAM-S テクノロジーは、本物の楽器と同じ自然な反応を保証します。SWAM インストゥルメントを使用すると、オーケストラの曲や協奏曲を作曲およびアレンジできます。SWAM Violin は物理モデリングに基づいた楽器です。そのため、主要な機械的変数をリアルタイムで制御できます。たとえば、ベロシティはサウンドのアタックとポルタメント タイムをコントロールし、レガートを演奏するときも同様です。モッド。ホイールはビブラートをコントロールでき、任意のフットペダルをエクスプレッションに割り当てることができます。実際、可能な組み合わせの数に制限はありません。

物理モデリングのハイブリッドライブラリ。そのため大変軽量です。 ブレスコントローラー等で細かく制御することでアーティキュレーションをリアルタイムで反映させ、作りこむ人が多いようですね。モッドホイールでビブラートをコントロールします。作りこみによってだいぶ印象が変わります。使いこなすのは結構難しいといえるかもしれませんね。またマイキングで出せる音の立体感等が若干乏しい気もします。

高温のレガートが非常に美しく響いています。長音で聴かせるタイプの曲に向いているかもしれませんね。一方で弦が強くこすれるような激しい表現、特に低音のソロで聴いた場合やや精度が落ちます。これは音響のモデリングというメカニズムから仕方がないのかもしれませんね。アグレッシブな表現はやや控えめといった印象を受けます。バックになっていると違和感なくヴァイオリンの音に聞こえることが多いため、ヴァイオリンらしさがしっかり表現されているのでしょう。ポップスでは一般の人が想像するところのThe Violinのイメージに沿った音なのでかなり使えそうです。



Chris Hein – Solo Violin EXtend

Chris Hein – Solo Violin EXtended は、以前のすべてのバイオリン ライブラリを凌駕しています。これまでになく、この程度のサンプル ライブラリが 1 つの弦楽器専用に作成されました。細心の注意を払って無限の詳細で録音され、正確に編集され、NI の Kontakt Player 用の実用的な楽器にマージされ、精巧なカスタム テーラードのユーザー インターフェイスを提供します。包括的なスクリプト。Chris Hein – Solo Violin EXtended は、高品位な音質と信じられないほどリアルなアーティキュレーションを特徴としています。このライブラリは、これまでの仮想弦楽器に欠けていたものをすべて提供します。


このライブラリーは、プロデューサーの Chris Hein の 30 年にわたるサンプリングとライブラリー制作の分野での経験の恩恵を受けており、最高の汎用性、構成可能性、実用性を提供する製品になっています。Chris Hein - Solo Violinは、4 つの素晴らしいサウンドの Solo Violin Instruments のバンドルです。CH-Solo Violin の 4 つの楽器は細心の注意を払って詳細に録音され、厳選された楽器はすべてユニークなサウンドで、プロのスタジオ ミュージシャンによって演奏されます。それらの仮想対応物は、演奏性とパフォーマンス ( EXインストゥルメント) のためにさらに最適化されているため、コンピューターのリソースを節約しながら、本物のパフォーマンスに必要なすべてのアーティキュレーションにアクセスできます。
には4種類の楽器が用意されています。

  • 「Modern Violin」は、非常にダイナミックで正確でクリアなトーンのハイファイ サウンドです。フルバージョンとEXバージョンが含まれています
  • 「The Italian Violin」は、アウグスト・ポラストリによって作られた古くて貴重なイタリアのバイオリンで、より暖かく豊かな音を持っています。古くて高貴な木の音が聞こえます。フルバージョンとEXバージョンが含まれています
  • EX-Instrumentとしての「フレンチ・ヴァイオリン」
  • EX-Instrument としての" Original 1826 "
機能の概要:
  • ライブラリサイズ ~ 9.4 GB
  • 機器あたり 10.000 サンプル
  • 38アーティキュレーション
  • 最大 8 つの動的レイヤー
  • 独自のフェーズアライン技術
  • 4つのダイナミックモード
  • ダイナミックな表現が持続する
  • 符頭デザイナー
  • ホットキー
  • インテリジェントなレガートとポルタメント
  • グライドモード リアルなランをプレイするには
  • 10個の内蔵DSPエフェクト
  • 2 つの独立したコンボリューション リバーブ
  • 63 のハイクラス インパルス レスポンス
  • アタック&リリースコントロール
  • 特別な騒音制御
  • アンサンブルメーカー
  • マイクロチューナー
  • UI で調整可能なフェーダー設定
  • EQを含むインテリジェントなLFO-ビブラート
  • カスタマイズ可能なオートビブラート
  • キービブラート
  • ビブラート
昔からよく使用されているストリングス音源。総容量9.4GB、38のアーティキュレーション。




ノートヘッドデザイナー機能という長音と単音の組み合わせをカスタマイズし、最適なアタック感になるようエディットすることができます。
音の傾向としては厚みのある暖かみのあるサウンド。弦のこすれる音がなかなかリアル。音色の傾向としては病院の待合室で流れてそうなクラシック曲によさそう。打ち込み次第ではかなり作りこめるようになっているようです。

EMBERTONE「JOSHUA BELL VIOLIN」


EMBERTONE「JOSHUA BELL VIOLIN」は、伝説的なヴァイオリニスト Joshua Bell(ジョシュア・ベル)の演奏と歴史的にも大変貴重なStradivarius(ストラディヴァリウス)のサウンドを惜しげもく収録した、ソロ・ヴァイオリン音源です。
リリース時期は2018年9月。



特徴

  • KONTAKT 5 PLAYER 対応
  • 伝説的なヴァイオリニストによる演奏
  • 貴重なヴァイオリンの音色を収録
  • ボウ・チェンジ、スラー、ポルタメントなど、スピードやダイナミクスを変えて12以上のスタイルを収録
  • キースイッチ、CC、アフタータッチ、ベロシティ、演奏速度、ピッチベンドなどを元にした、自由度の高いアーティキュレーション・アサイン・システム
  • ビブラートとノンビブラートのサンプルに加え、スクリプトによるビブラートを実装
  • スピード、インターバル、アタックに応じてチューニングを変えることができるヒューマナイズコントロール
  • 主流の奏法に加え、リコシェ、スーパー・フラウタンド、タスト+ポンティチェロ・サステイン、さらにはトゥルー・レガートのハーモニクスまでを用意
  • グラミー賞を受賞した Richard King 氏がエンジニアリングを務め、旧アバター・スタジオで録音
ストラディヴァリウスの音源。容量は9GB。アーティキュレーションは以下のようになっています。フラウタンド等も収録されており、結構充実しています。

煌びやかな音色も得意な音源。レガートはベタ打ちでOKというわけではなく、MIDIをうまく打ち込まないと若干演奏が崩れることがあるようです。癖のないヴァイオリン音源として使えそうですね。



 Virharmonic Bohemian Violin




ボヘミアン ヴァイオリンを使用すると、音楽の作成がこれまでになく簡単になります。バーチャル パフォーマーが演奏の入力に基づいて瞬時に決定を下すことで、今までにないような叙情的なライン、リアル パフォーマンスを書くことができます。膨大な 70,000 のサンプルと広範にキャプチャされた真のレガートにより、このバイオリンはこれまでにないリアリズムを提供します。ボヘミアン ヴァイオリンは、拡大する一連のパフォーマーの一部であり、バイオリニストでなくても本物のヴァイオリン パフォーマンスをすぐに演奏できるように作成されました。

26GBの音源。この音源の優れたところは自動的にアーティキュレーションをきりかえてくれることにより、ベタ打ちでもかなりの完成度で鳴らすことができるということです。この手のヴァーチャルインストルメントはある程度細かな調整が必要なので、それをすっ飛ばして作ることができるというのはかなりの強みになります。お気に入りの高品質ストリングス音源をもっていたとしてもこれだけで入手する価値はあるといえます。流石にすべてベタ打ちだところどころ気になるところは出てきますが、それでもかなりの時短になることは間違いなし。オケの中だとほとんど気にならないかもしれません。

演奏スタイルは様々なものが用意されています。キースイッチで切り替えることも可能。ソロ、セカンド ヴァイオリン、トリオ、チェンバー、ディヴィジ トリオ & ディヴィジ チェンバー等、複数の奏者も用意されています。

 演奏入力に基づいてどのように演奏するかを予測することは魔法の一部にすぎません。バーチャル パフォーマーは、ムードと呼ばれる別の演奏スタイルを切り替えることで、演奏中に感情を変えることもできます。キーをタップするだけで、アサーティブで強引に演奏したり、あまりにも感情的で穏やかに演奏したり、即興で、さわやかでクラシックなムードで、最後に短く、シャープで、生き生きとした、元気で、さまざまなカフのモックアップを演奏したりできます。最初のポリ パフォーマー レガートである Maestro に切り替えて、必要な数のノートを一緒に演奏し、ポリ パフォーマーに適切なレガートと弓のタイプを選択させます。

アーティキュレーションは以下のものが用意されています。 

キースイッチによるアーティキュレーションも用意されています。通常のアーティキュレーションはもちろんアップボウダウンボウ、スルタスト等結構な充実。

音色は劇伴等に使われそうな枯れた趣のあるエモーショナルな音色。

聴いてみるとレガートが非常にうまくいってます。音もかなりの精度で再現されているので手っ取り早くヴァイオリンソロを用意したい人にとってはかなり使いやすそうです。

 Virharmonic Bohemian Violin


SPITFIRE SOLO VIOLIN




世界から多くの称賛を受けた「Solo Violin(Virtuoso)」トータルパフォーマンスパッチが個別の Kontakt Player ライブラリとして登場。ヴィルトゥオーソ(達人)として名高い“Jack Liebeck”による演奏を、AIR Studiosにて余すことなく収録しました。トゥルーレガート、フィンガードレガート、ボウドレガート、ポルタメントレガート、ランやアルペジオなど現実的なソロ演奏を再現するのに必要なテクニックをすべて内包しています。スピカート、スタッカート、トレモロ、トリル、モルトビブラート、プログレッシブビブラート、ノンビブラート・・・これらすべてのフレージングをキースイッチなしに再現する「トータルパフォーマンスパッチ」は、直感的でプレイアブルな打ち込みを実現します。

アーティキュレーション

  • Fingered Legato
  • Bowed Legato
  • Portamento Legato
  • Runs
  • Arpeggios
  • Spiccato
  • Staccato
  • Tremolo
  • Trills
  • Molto vibrato
  • Progressive vibrato
  • Non vibrato
Mics & Mixes

  • Close
  • Tree
  • Ambient

7GBということですが、そうとはおもえないくらいリアルな音がします。煌びやかな音色。3マイクポジションでアーティキュレーションは通常のものは用意されていますが、スルタスト等の現代奏法は収録されていないようです。若干音が細く聴こえないでもない。


主な特徴

  • ソロバイオリン演奏を最も詳細で高度に再現
  • 世界でも名高い AIR Studios での録音
  • 5種類のトゥルーレガート
  • ヴィルトゥオーソとして知られる世界的なコンサートバイオリニスト“Jack Liebeck”による演奏
  • Native Instruments社より無償提供されているKontakt Player上で動作
  • 直感的で簡単な操作(キースイッチ不要)

e-instruments「STRADIVARI VIOLIN」






容量 23.5 GB GB (非圧縮時のサンプルプールはおよそ39 GB )

概要
  • イタリアの都市クレモナにて綿密にサンプリングされた、Stradivari「Vesuvius」の傑出したサウンド
  • 複数のマイク位置で収録されたバイオリンの全音域と、20ものアーティキュレーションで、表現力のあるパートを作成
  • 位相調整されたベロシティ・クロスフェードと、実際に録音されたビブラートで、リアルで表現豊かなフレーズを演奏
32本分のマイクを3系統(クローズ、ミッド、ファーのマイク位置)としっかり録ってます。アーティキュレーションリストは以下のようになっています。通常のものより多く収録されていますね。

カテゴリーアーティキュレーションFINGERED LEGATOBOWED LEGATOPORTAMENTOREBOW
Longサスティーン

マルカート

デターシェ

Shortソティエ・シングル
スタッカーティシモ
スピッカート
スタッカート
ピチカート
Expressiveトレモロ

トリル

リコシェ
ソティイエ

Dynamicクレシェンド
ディミヌエンド・ショート
ディミヌエンド・ロング
Specialスルポント

スルタスト

ハーモニクス

コルレーニョ
Adaptiveバーチュオーソ

コル・レーニョ等特殊な奏法も充実しています。
総じて弦のざらつきがしっかり活きている音源ですね。ビブラートをモデリングしているというのが面白いですね。長音がリアルに響いています。素早いパッセージなんかがかなりの再現度ではないでしょうか。パガニーニあたりの高速パッセージもいけそう。聴いてみてわかるようにレガート奏法若干アーティキュレーションが不自然になったりしてるので、気が抜けると崩れるタイプ、MIDI各種パラメータの細かい調整は必須かと思います。



まとめ

どのようなシーンで使うかによってやはり適正があるかと思いますね。ポップス系ですとSWAMあたりが当たり障りなく良い音を鳴らすことができるかと思います。きわめて個人的ですが、Spitfireが弦楽器の鳴ってほしいディテールがきちんと出ていて魅力的に聴こえました。Native Instruments「STRADIVARI VIOLIN」はお堅い感じのクラシックにも使えそうな完成度の高さを感じさせます。
 Virharmonic Bohemian Violinは時短系の割にクオリティもかなり満足できる出来で、持っていて損のない便利な音源ですね。