UJAM「Virtual Pianist: VOGUE」レビュー(グランドピアノライブラリ、内容の評価、他ピアノ音源との比較等)
初のグランドピアノ音源ということで、期待が高まりましたのでこの度導入です。
メーカー情報
VOGUEは、現代の音楽スタイルに精通したプロのセッションプレーヤーです。このバーチャルミュージシャンは、バンドの一部としてリズミカルなトラック、歌手や楽器奏者の伴奏、またはシンプルで魅力的なソロパッセージや楽器の再生に貢献できます。30のスタイルから選択して選択し、フレーズをトリガーして、それに合わせて調整するだけです。
- 180のフレーズと150のフィルとアドインを備えた30のスタイル
- 7つの異なるコードスタイルの解釈
- 130以上のプリセット、30のフィニッシャーマルチエフェクトモード、30のアンビエンスFXプリセット
- MIDIドラッグアンドドロップ、サイズ変更可能なユーザーインターフェイス
引用:UJAM
機能紹介
まず、V2以降のほとんどのUJAM製品に該当しますが、Player/Instrumentの2種類のモードが搭載されているため、通常の88鍵のピアノ音源として使用することができます。
Playerモードでは低音域に用意されているキースイッチがフレーズスイッチとなっており、上音域でコードの核となる音程メジャーなら(長3度)を指定することで、そのコード進行に合わせたフレーズを演奏することができます。オートメーションを使用することで演奏中に切り替えることも可能です。
音色は画面左側の5種類が用意されています。Emotionだとフェルトピアノのようなサウンドバラードだといかにもバラード風、コンサートならクラシック風のマイキング、パワーだとバッキングに最適なバキッとしたオンの音が鳴ります。この5種類でまず音の方向性を決めるのですが、UJAMはほかの製品でもそうですが、用途に応じて必要なものがすぐ出てくるようピンポイントに用意されているだけあって、より普遍的に納得させるサウンド。単にエフェクトで加工しているだけでなく、音の広がり等をジャンルに合わせて最適化しようとしていることが分かります。やはりセンスが良いですね。Plasticはダンスミュージック系でしょうか。
また、画面右はエフェクトセクション。エフェクトプリセットが用意されています。モジュレーションやディレイ等を組み合わせることでニューエイジ系のピアノサウンドにしたり、ピアノ自体の音作りができるのは大きいですね。(音作りといっても、既にエフェクトチェーン済みのエフェクトから選ぶので一から音作りをすることはできません。)右側はエフェクトセクション。グランドピアノですが、ディレイ等攻めたものも用意されているので、エモーショナルなロックやプログレにも使えそうですね。
また、サウンドの特徴ごとに(明るい、暗い等)ファクトリープリセットも用意されています。
フレーズを一通り目を通してみて、雑感としては普通にクオリティの高いものが多いです。フレーズパターンというと使い物にならなそうなものが入っていたりするのですが、どこかで聞いたことがある第一線で活躍できるフレーズがきちんとそろってます。若干洋楽よりかもしれません。
また、真ん中のDark-Brightのパラメータはフィルター系でしょうか。使うと音がくぐもっていきます。
またキースイッチをみるとわかるようにエクスポート機能があります。
MIDIで吐き出すこともできるというのはなかなかうれしい。
また、フレーズをスピード2倍にしたりスイング、さらにはヒューマナイズ機能も用意されています。
さて、最後に音質ですが、容量が3GB少しとは思えないくらいに良い音しています。特に低音が良く取れている感じですね。もちろんVSLのような容量の桁が2つほど違うものと比較すると音そのものに情報量が少ない感触もありますが、聞いていて音が乏しいようには聴こえません。むしろよく綺麗にまとまった音源。収録が上手いのでしょうかね。効率の良いUJAMのサンプルエンジンのテクノロジーについても公式かどこかで言及があったのでそこらへんも功をなしているのでしょうか。また、軽いのも良い。(総容量でいうと全音源でおそらく1位のVSLシリーズだと環境によってはロードに5分以上かかるみたいです)
ユーザーも多い人気どころでいうと XlnAudioの「Addictive Keys」よりも純粋な楽器の再現という点においてはリアルなような気がしますね。
評価
UJAMを色々と使っている筆者としては思った通りの良い出来かと思います。モジュレーション系の攻めた音がすぐに使えるというのは盲点でした。また、ピアノの音の明るさと硬さがすぐに選べるというのはさすがの即戦力系といったところでしょうか。
容量が少ない割に音が良い感じに取れているので(しかも軽い)ポップスに使いやすいですね。ウィークポイントも挙げておきましょう。UJAMのコード認識機能が13th等に対応できていないので、ジャズ特有の#9等の表現がPlayerモードでのフレーズ再生できません。おそらくオルタード系が非対応だと思います。もちろんInstrumentとしてはできるのですが、コードのバラエティが7th、M7、sus2, 4、dimその他と限定的なのでジャンルがポップスやその他のジャンルと限定的ではあります。とはいってもパワーコード、転回、add9 11 aug 6 b5系はできるのでバリバリのジャズやシティポップ系でない限りは問題ないかもしれません。
その点をもってしても、なかなかよくできた音源かなと思いますね。純粋なピアノ音源としてみると競合はいろいろあるかと思いますが、フレーズが使いやすくなかなか良くできているかと思うのでそこを(UJAMは無料試用もできるので)チェックしてみるとよいと思います。
UJAM