【Review】dSONIQ「Realphones」レビュー(ヘッドフォン周波数特性補正&スタジオルームモニタリングプラグイン、他製品との比較など)
メーカー情報
dSONIQ Realphonesは、ヘッドフォンのレコーディングスタジオコントロールルームの音響環境を再現し、周波数応答を補正します。Realphonesを使用すると、ヘッドフォンは信頼できるトラックをミキシングするための信頼性の高いモニタリングツールになります。Realphonesは、ヘッドフォンを使用したサウンドミキシングで見逃したすべてのものを提供します。厳選された一連の機能は、ヘッドフォンを外さなくても、スタジオやその他の場所でトラックがどのように聞こえるかを理解するのに役立ちます。
特徴
- ヘッドホンの周波数応答を修正します。
- プロのニアフィールドおよびファーフィールドモニタリングを備えたスタジオコントロールルームをエミュレートします。
- HRTFに基づくバイノーラル仮想ポジショニングを使用します。
- プロフェッショナルおよび家庭/消費者向けオーディオ再生システムの周波数応答をシミュレートします。
- ミックスの空間成分と周波数成分を監視します。
引用元:Realphones
機能紹介
dSONIQ「Realphones」は既存の製品でいうと「Reference4 Headphone edition」のヘッドフォンごとの周波数応答補正機能と「Abbey Road Studio」等のWaves製品を合体させたようなプラグインです。つまり、簡単に言うとヘッドフォンごとの特性をフラットにした状態で、スタジオスピーカーのサウンドをモニタリングできるプラグインということです。
まず仮想空間の設定ではスピーカーのアングルを設定できます。LR反転、位相反転、MS、LRのリスニングも可能。そして、スピーカーの距離をUI画面に設置されている3ポジションから選べます。
主要なヘッドフォンの周波数特性を補正することによって、フラットな状態でモニタリングできます。修正度合いも調整可能。それぞれのヘッドフォンの補正とスピーカーのセッティングの際に周波数グラフと補正量が表示されるので数値的にも把握しやすくなっています。
スピーカーは家庭的なものからスタジオ設備のアメリカ系スピーカー、日本製まで様々。スピーカーをこれだけの量選べるのはWavesのスタジオシュミレーションにはない特徴。
また、レスポンスやその他を調整することもできます。こうしたパラメータは他のシュミレーションプラグインと似ています。
ヴァージョンの違い
バージョン比較
バージョン | ライトパック | プロフェッショナルパック | アルティメットパック |
フォーマット | スタンドアロン、VST、VST3、AU | スタンドアロン、VST、 VST3、AU | スタンドアロン、VST、VST3、AU |
ヘッドフォンプロファイル | 一般的なプロファイルのみ | 3つの標準ヘッドフォンキャリブレーションプロファイル | サポートされているすべてのモデルの標準ヘッドフォンキャリブレーションプロファイルの無制限の選択 |
3ヴァージョンが用意されています。大きな違い(というよりは違いはそれだけ)はヘッドフォンプロファイルの量。
ライトパックはオープンタイプ、クローズタイプといった種類ごとのGenealモデル(モニターヘッドフォンの周波数特性を平均したもの)のみ収録されています。なので、スタジオモニタリングをメインで使いたい人は問題ないかもしれませんが、厳密に周波数特性を補正したい人はプロフェッショナル以上が良いと思います。プロフェッショナルは3つを選べるので多くの人はこのグレードでしょうか。アップグレードもあるので様子見でグレードアップもできるあたりは〇。
評価
聴いた印象だと、WavesのNX系よりも臨場感があり、スタジオスピーカーの特性を捉えられている印象です。スピーカーから出るベースのうなりなどがしっかりと再現されています。そしてモニタリングの距離を選べるのもなかなか良いと思います。(Waves Studio系も3ポジション、そして頭の動きをモーションキャプチャで行うのですが、専用NX機器を使わずカメラで行うと精度が△)
スタジオモニタリングがメインのようにも見えますが、家庭用からスタジオまで様々なスピーカーをシュミレートできるのはかなり便利だと思います。一般家庭オーディオの音をシュミレートする機能がスタジオモニタリング系プラグインに入っているのは珍しく、ターゲットリスナーの環境をシュミレートできるのは使えそうです。
また、スタジオだけでなく、様々なリスニング環境のモニタリングができるのも◎。
何よりヘッドフォン補正と、スタジオモニタリングがセットになっているので色々立ち上げずに大変使いやすいです。スタンドアロンがあるのも地味にうれしいところ。(立ち上げてLine device接続にするだけ。)DAWなしで起動でき、ヘッドフォンでスタジオモニタリングのように普段の音楽を聴くことができるので、気づきがありそうです。