【Review 】Sampleson「Klavee」レビュー(チェコの希少な撥弦エレクトリックピアノ「Klaviphon」をエミュレートしたスペクトルモデリングエレピ音源、他の音源との比較等)

Sampleson「Klavee」レビュー(チェコの希少な撥弦エレクトリックピアノ「Klaviphon」をエミュレートしたスペクトルモデリングエレピ音源、他の音源との比較等)


珍しいエレピ音源があるということで、これまでSamplesonをつかったこともなかったのでお試しで導入してみました。「Klavee」を細かくレビューしていきたいと思います。

メーカー情報

チェコのクラビフォンはほとんど絶滅しています。オンラインでパーツを見つけることはできず、まだ生きているパーツはほんのわずかです。これが、Samplesonが仮想バージョンを作成したかった理由です。次世代のミュージシャンのために独自のサウンドを維持するため。KLAVEEはスペクトルモデリングに基づいて構築されました。オリジナルの楽器との完璧な音色のマッチングを保証するテクニック。

 

Klaviphonは、60年代にチェコ共和国で作成された撥弦エレクトリックピアノです。音は、木製のハンマーで弾かれた葦によって生成されます。低オクターブの音は、古典的なリードベースです。高音域では、ハンマーで叩く方向(リードエッジの下から上)の性質上、音色がカリンバのような音に変わります。
特徴
  • スペクトルモデル化されたクラビフォンエレクトリックピアノ。
  • リアルタイムスペクトル変換
  • 実際のサンプルに基づいています。
  • わずか35MB。

Klaviphonという60年代にチェコ共和国で作成された撥弦エレクトリックピアノのスペクトルモデリングです。ほとんど絶滅した幻の実機だそうです。音は、木製のハンマーで弾かれた葦によって生成されます。低オクターブの音は、古典的なリードベースで、高音域では、ハンマーで叩く方向(リードエッジの下から上)の性質上、音色がカリンバのような音に変わる珍しい楽器です。

機能紹介

この音源は実機の音響から得られたスペクトルをモデリングしたスペクトルモデリング方式のエレクトリックピアノなので大変容量が軽いです。

UIは一画面と至ってシンプル。


ノブも大変シンプルですが、他の音源と異なり、大分パラメータに癖があるので軽く紹介していきます。

ディレイは左右でそれぞれ、好みのディレイタイムや反復を分数で設定可能。ドライブは歪ませるノブですが、単に歪むだけでなく金属質な響きが加わります。Rhode的なベルの音色をかすかに感じさせるサウンド。これは実機をモデリングしているのだと思います。あまりかけすぎるものではないようですがすこしかけるとサウンドに趣深いサビが生まれます。

リリースノブは鍵盤を話した後の金属質なノイズが付加されます。これはかなりリアルで良い感じ。メーカーも喩えていたようにカリンバのようなサウンドが付与されます。アンビエントノブはサウンドに3Dの広がりが生まれます。過度に音像がぼやけることなく自然に広がるので扱いやすい。

プリセットも5つ用意されています。そこまでパラメータが多くないので必要ないかもしれません。プリセットとしてお気に入りのセッティングを保存することができます。


サウンドの特徴

サウンドの特徴を一言で言い表すのは難しいですが、有名どころのエレクトリックピアノと比べた際にノイジーで渋い印象を受けます。音域によってはカリンバのようにに聞こえるようなサウンドであったり、音域によって大分音の性格が異なる実物の楽器感の感じられる音源です。クリーンギターにも聞こえることも。奥の深い楽器なのは実機の特性のおかげでしょうか。

因みにこちらが本物。



RhodeやWurlitzerに似ていると思いきや、どちらかというとこちらは粒が細かい、焦点のあった切れの良いサウンド。サウンドも適度に雑味があり深い音色です。「Klavee」のデモ動画と比較して見ればわかるよううに、かなり再現度が高いことがわかります。
リリース後の金属的なノイズ等が上手く再現されており、かなり質感を感じられるエレクトリックピアノ音源だと思います。サウンドにひねりがありシンプルではない響きというのでしょうか。

私的な印象ですが、一般的に普及している有名どころでいうとサンプルベース(?)のAirMusic TechnologyのVelvetや同じ土俵でいうとAASのフィジカルモデリングのエレクトリックピアノ Lounge Lizardよりも鍵盤のタッチのリアルさが感じられました。メジャーどころでいうとWavesのエレピのようなしっかりした質感があります。



評価


まず、ほとんど唯一無二の楽器ということでも評価の上がる音源ですが、実機特有のノイジーなサウンドが丁寧にモデリングされており、非常に完成度の高い音源だと思います。有名どころのエレクトリックピアノだとどうにもキレが悪いと思ったときに代替として使いたくなる音源です。流石はリードの撥弦というだけあります。
パーカッシブな表現にも適しているので、ファンクやシティ系にも良さそう。切れの良いサウンドですが豊かな響きを持っており、クラビネットほどドライでもないのでかなり使える音色といえると思います。もちろんロマンティックな表現にも対応できるので、ジャズにも最適。この手の音源はうっかりすると使わずにお蔵入りになることも多いですが、こちらに関しては実践的で、なかなか使える音源だと思います。

この記事が気に入ったらフォローしてね!