【 Review 】zplane「PEEL」レビュー(オーディオ分離機能搭載型空間スペクトルイコライザー、使い勝手、評価等)

【 Review 】zplane「PEEL」レビュー(オーディオ分離機能搭載型空間スペクトルイコライザー、使い勝手、評価等)



deCodaで話題になったzplaneの新作がリリースされたとのことなので、早速ですが導入してみました。

メーカー情報


空間スペクトルアイソレーターEQ
オーディオ録音とサンプルでクリエイティブになりましょう。PEELは、ステレオ録音の個々の楽器またはボーカルを分離するため、外部処理のためにオーディオをソロ、ミュート、またはルーティングできます。ボーカルが大きすぎる曲を手に入れましたか?PEELはボーカルをDAW [1]の別のトラックにルーティングできるため、ミックスダウン前と同じようにレベルとパンを設定できます。スネアに少しリバーブをかけたいドラムループはありますか?問題ない!PEELは、スネアのみを抽出し、必要なエフェクトを追加するのに役立ちます。

特徴
  • スペクトル処理オーディオプラグイン
  • ミックス内の単一の楽器を視覚的に識別します
  • 問題のある楽器をミュートする
  • 強調したいソロパフォーマンス
  • 選択したオーディオを外部処理にルーティングします
  • ミックスの問題を特定するのに役立つ方法として、ミックス全体を視覚的に確認します
  • VST / VST3 / AU / AAXフォーマット
仕組みとしては大変シンプル。特定の横軸が定位になっており、縦軸が周波数帯域のマップとなっており、トラックの信号が下の画面のように色が付いた状態でマッピングされて表示されます。



そして、EQと書かれた枠で幅を調整することによって、枠内にある特定の周波数帯域の特定の低位の信号とそれ以外の信号を分離するという仕組みです。ちなみに枠内を聴くモードと枠外の信号を聴くモードがあり瞬時に切り替えることができます。聴きながらシェーピングできるので、操作は大変直感的。そのため、例えば、不要な周波数帯域をカットすることもできます。イメージとしては、定位と周波数帯域の2つの軸による空間系EQでしょうか。

例えばドラムセットはこのように表示されます。色が薄いですが、左上にハイハットがマッピングされています。



そして、対応しているDAWによっては分離したオーディオを別のトラックにルーティングすることができ、パンやヴォリュームを独立して設定したり、エフェクトを書けることができるようになっています。

評価

オーディオ分離プラグインとしてみるとミックスの中から特定の楽器を部屋鳴りから全てを完全に分離することは楽器によっては難しいようです。(他のRX等といった分離機能をもったソフトウェアでもそうだと思いますが、近い周波数帯域の分離がなかなか難しく、無理に分離すると音が痩せたりします。ヴォーカルとドラムのような別ジャンルの楽器は結構うまくいくみたいです。低音中音域のバスドラムやスネア類の抽出等も結構簡単に行けます。倍音の仕組みから高周波数帯域の抽出がかなり難しいです。ハイハットは難しい。恐らく音響の特性上どのプラグインでやっても難しいと思いますが)
また、定位があらかじめ分離されている音源の分離は他のプラグインと比較して、かなりこのプラグインは得意です。定位ごとに分離できるのでかっとした違和感を最小限に抑えられるのは強み。定位と周波数帯域の2つの軸で分離できるオーディオ処理プラグインはなかなか少ないかと思います。
分離枠がもう少し細かくシェーピングできたり、複数の分離ができるともっと使えると思うのでアップデートに期待。ノイズ処理用としては想定されていないのでiZotope「RX」の機能であるSpectral Repairのように細かく処理をするプラグインではありません。
そのため、どちらかというとこのプラグインはMix用に使用することを想定した方がよさそうです。特に別トラックへのルーティングが容易なので、マルチバンドエフェクトのように特定の周波数の特定の位置にピンポイントにエフェクトをかけることができるのはかなり便利だと思います。それは単一の楽器であっても、例えば、空間幅の広い楽器に対し、ピンポイントにエフェクトをかけるなど使い方はかなり考えられそうです。シンプルながらも可能性を感じるプラグインでした。