UJAM「STRIIIINGS」レビュー(フレーズ生成機能搭載型ストリングス音源、使い勝手、感想、他の製品との比較等)
UJAMの初のストリングス音源がリリースとのことで、気になって導入しました。ストリングス音源としての印象や、他ujam製品との使い勝手等を中心にレビューします。
まず、メーカー情報から。
メーカー情報
完璧なストリングセクションの曲を聴いているときに、首の毛が立ち上がるときの感覚を知っていますか?その詩の感覚と純粋な音の喜びをもたらすことができるものはほとんどありません。聞くと心が膨らみます。ストリングセクションは感情を強調し、曲を素晴らしいものから傑出したものに高めることができます。それがこのプラグインのすべてです。
特徴
- ワールドクラスのストリングセクションフレーズを演奏します。ストリングアレンジのスキルは必要ありません。
- UJAMによる真新しいクリエイティブパフォーマンスとサウンドデザインエンジン
- 60の演奏スタイル、サウンドデザイナーのプリセット
- ボリス・サルコウ製作のハンス・ジマーのリモートコントロールスタジオで録音
搭載されている機能
使い勝手としては他のujam製品のベースやギター音源と使用感が似ています。フレーズパターンと音色とフレーズ諸々のプリセットがあるのも共通。
この音源はローストリングスとハイストリングスの2レイヤーになっており、画面左右にUIがLow StringsとHigh Stringsセクションが用意されています。チェロやコントラバスがいらない時はLow StringsをOFFにしたり、備え付けのFXやEQノブでそれぞれの音域の音色を調整できるようになっています。
フレーズを生成する方法はハイレンジでコードを指定して、ローレンジでフレーズパターンをキースイッチで指定するおなじみの方式。
STRIIIINGSの場合ストリングス音源なだけあって、珍しく、ミッドレンジのキースイッチがルートを指定するキースイッチになっています。コードパターン生成時に追加で入力することで、コードのルートを変えられます。ujamギター音源にはないものが多いのですが、これはストリングスでは滑らかなバスラインを書く上で大変便利な機能です。
また、フレーズのキースイッチには黒鍵のAdditionsスイッチをフレーズ生成中に入力することで、再生しているフレーズにコル・レーニョの合いの手やヴァリエーションを追加で挿入することができてしまいます。これはフレーズを同一の反復から避けることができめちゃくちゃ便利。因みにこの音源は通常のアルコ以外の奏法も使われています。
また、Crossfadeノブにてハイレンジとローレンジのストリングスのバランスをコントロールできます。
そして、大変面白いのが左右に取り付けられたMotionFX機能。これはゲートやポンピング、Sweep Filterやビブラート等、ストリングスの範疇を加えたエフェクトを高音楽器と低音楽器2バンドでかけることができるのです。そのため、一見ばりばりの正統派弦楽器音源ですが、様々なシンセ風のインストルメントに変わってしまいます。このようにたくさんエフェクトがあります。
因みにMIDIラーンも可能。
そして極めつけがFinisherノブ。様々なプリセットが用意されており、これをかけると音色を全く異なるサウンドへと魔改造できてしまいます。ストリングスがきらきらの電子音響サウンドになったりシンセストリングス風になったり。ノブの回し具合で調整できるので、幅広いサウンドづくりができます。
音色・内蔵フレーズパターンなど
まず正統派のクラシックが大変充実しています。音質も大変良くroomを広げ気味で聴くとクラシックホールで聴いているかのようなクオリティ。謳い文句そのままのクオリティです。Room Ambienceでサイズ感を調整できるのでもちろん大迫力以外も対応できます。
そして、映画音楽系のスタイルも大変充実。劇的な迫力系と繊細系が大変多い印象です。奏法もそうしたスタイルが充実しているのですが、前述のCharacterFXやMotionFXをかけることでダンスミュージック、IDMやエクスペリメンタル、ヒップホップなサウンドへと変わってしまいます。アンビエントにも最適。
総合的な評価
クラシック系や映画音楽のストリングセクションを簡単に作れるのはとても便利な印象を受けました。一度は聴いたことのある汎用性の高いフレーズが大量に収録されています。聴いてると有名なクラシックや映画音楽のフレーズが脳内再生されそうなモティーフ。またオーソドックスなコードバッキングもあるのでポップスは基本的に網羅できます。
最もおすすめできる人:芸術音楽の領域で、クラシックの作曲法で作曲する人はそもそも一から楽譜で書くため使わないと思うので、基本的には商業系の人ですね。ストリングスは打ち込みが大変難しいので、それだけでかなり時短できます。それでいてデモ動画で聞けばわかるように時短感がほとんどわからないと思います。
フレーズの任意のタイミングでヴァリエーション加えられるのがまたうれしい音源です。ヴァージョンアップでソロ機能に期待です。
また、ゲートやファズ、その他エクスペリメンタルなFX機能が充実しているので、スタッター風や電子音響風に加工することができるので、使ってみると思った以上に汎用性が高いです。音色に関してはかなりクリエイティブ。
そのため、実はヒップホップやダンスミュージック系の人にもお勧めできます。クラシック風のクオリティを確保しつつ、拡張できるそんな音源です。私は主にこちらに面白みを感じたのでこの路線で使っていきます。(非ujam的ではありますが、もしシンセサイザーの機能とかついていたら面白そうです。)
生楽器の素材ではありますが、サウンドメイクの幅が広く、パッドや、テクスチュア、ストリングシンセ音源音源のようにも使えるのがこの音源の隠れた収穫でした。