【 Review 】MeldaProduction「MDrumReplacer」レビュー、(大容量サンプル搭載型ドラムリプレイサー、使い勝手・評価等)

【 Review 】MeldaProduction「MDrumReplacer」レビュー、(大容量サンプル搭載型ドラムリプレイサー、使い勝手等)


新作のドラムリプレイサー、MeldaProduction「MDrumReplacer」のレビューです。
まず初めに総容量80GBで!?となり、あまりにも安いので気になって導入しました。まだ情報が少ないので参考になれば。

まずはメーカー情報から。

メーカー情報

すべてのヒットが完璧であるとは限りません。すべてのドラムテイクが完璧であるとは限りません。また、すべてのドラムが素晴らしいサウンドであるとは限りません。しかし、MDrumReplacerを使用すると、ドラムの録音が完全に失われることはありません。マイクの位置が悪い場合でも、ドラムセット全体が嫌いな場合でも。MDrumReplacerは、これらすべてを1秒で修正します。それでも、あなたの録音は信じられないほどライブに聞こえます。

MDrumEnhancerの強力なドラムヒット検出器は最高の精度で動作します。あなたのほんの少しの助けを借りて、それはあなたが単一の楽器の録音と時には混合ドラムセッションの両方で置き換えたいヒットを見つけます。  MDrumReplacerには、オーディオマテリアルを徹底的に調べて最も顕著な周波数を特定し、それに応じてレゾネーターを設定する高度な学習機能が装備されています。次に、リッスン機能を使用すると、フィルター処理された信号だけを試聴できるため、フィルターを簡単に調整して、可能な限り正確に設定できます。

 

引用元:MDrumReplacer

基本的機能

ドラムリプレイサーとはドラムヒットを他のものと置き換えることができるプラグインなのですが、仕組みを軽く確認していきます。まず、できることを確認すると、MIDI信号の音源でもオーディオ信号に対してでも使えます。



まず、このプラグインはしくみとしては検出機能によるピンポイントなジェネレータのようなもので、スレッショルド等の最小最大を設定することで、その範囲にあるパルスを検知します。そしてそれを元に内蔵の音源の信号をトリガー発信することによって置き換えられるという仕組みです。そのため、弱いヒットにだけ音を追加で加えるといったこともできます。



ただこれだけだとマイキングの問題で、様々な被りがある場合、分離することが難しいので、カラフルなバーが並んだPREFILTERINGによって、周波数帯域の中から最大5ポイントを抽出してフィルタリングをかけることによって、ドラム全体の中から差し替えたいものだけをピンポイントに検知させます。Subボタンは逆に検知しない周波数帯域を設定できるのでキックを外したい場合は低周波数帯域をSubで入れておくとキックの音を検知しなくなります。自動で周波数特性を検知するLearnモードもあります。

このように周波数帯域をかなり厳密に調整でき、かなり精度が良いので、特定の単一のドラムキット(バスドラム、スネア)だけでなく、(正しい使い方なのか良くわかりませんが)なんと1つのドラムMIX全体の中からハイハットだけ差し替えるということもできてしまいました。(たとえばバスドラムは50hzあたりでQ小さ目等)試してみましたが、その精度はかなりのものです。ここまで正確にできるドラムリプレイサーは多くないので貴重です。
アナライザーもあるので見つけるのは結構簡単ですが、少し周波数帯域の知識があるとスムーズ。英語のマニュアルにやり方は書いてありましたので得意でない人は参照できるので安心。その他検出のパラメータは他のリプレイサーと同様なものが多いです。


試しにフルドラムミックスの中から抽出が大変難しいといわれるハイハットの抽出をしてみました。ちょっと無茶な試みですがこんなことまでできてしまいます。Prefilterはアナライザー上でいじることもできるので直感的。また、検出されたものは波形上に点で表されるので正しく検知されているか一目でわかり、聴きながら正しく検知するまで直感的に操作できます。手動でできるのはかなりありがたいですね。直感的な操作性では他の人気ドラムリプレイサーより上だと思います。



そして、ジェネレータにより置き換える音源はDry Wetでミックスの具合を調整でき、ヴォリュームやパン、ピッチ、マイキング、ADSR等を細かく調整可能。マイキングはマルチレイヤー対応の音源のみ詳細にいじれます。4つのヴェロシティレイヤー専用のしきい値(緑色の線)も用意されているのでかなり柔軟にサウンドの調整ができます。


そして、このプラグインの一つの目玉といえるのが音源の多様さ。なんとMDrummerの音源を含めた約80GBもの高音質の音源が用意されています。ドラムやシンセドラム、シンセヒット、FX等圧倒的サイズで大量に用意されているので足りないということはありません。EDMからハウス、ロックからその他諸々。パーカッションもあります。つまり持ち前の音源を全てMDrummerに置き換えられるということでもあるんですね。
そしてもちろん自前のサンプルもロードできます。




そして、エフェクトも圧倒的です。MeldaProductionのエフェクトが網羅的に搭載されているので、作れない音がないくらいに充実しています。リバーブ等の通常のものからモジュレーション等のサウンドを積極的に加工していくものまで。FXはマイクポジションごとに設定できます。Drum Editor画面ではさらに個々のサンプルに対してもエディットすることができます。

リバーブ。MeldaProductionの製品が網羅的に入っているのはかなりすごいですね。


そして極めつけはドラムエディット機能。これはSampler(主にスライサー)、Scracher、Synth(シンセサイズ)等の処理を置き換え後のサンプルに適用させることができる機能です。例えば、Samplerならば、開始点と音の立ち上がりを調整できます。



Scracherはこんな感じです。


Synthesizer4NNモードではモジュレーション等のパラメータまでいじることができます。


評価


使用用途ですが、生録音に限らず、サンプルやすでに作った音源のキックだけをシンセ風にしたいというときにかなり便利だと思います。また、シンセのテイストをうっすら加えたり他の音色のレイヤーを加えるのにも最適です。ヒップホップ等、サンプルベースで制作していくことの多いジャンルでは強力な武器になること間違いなしです。ビートは好きだけど音色がNGというサンプルもこれ一つで使えるものになります。
恐らく、音色やエディットの汎用性や応用性という面でこれを超えるリプレイサーはほとんどないと思います。(特に音色の幅と検知の精度・カスタム性、エディット機能)
ドラムの使用が想定されていますが、これだけ音源があるのならば、例えばシンセヒット等のパーカッシブなものであればドラムに限らず差し替えられるのではないでしょうか。

年明けまでのイントロセールが80%OFFとありえないくらい強気なので、(MeldaProductionの場合50-70%が限界)少なくともドラムリプレイサーを持っていない人はノーブレインだと思います。

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