弦楽器の物理モデリング音源、Image Line「Sakura」レビュー(使い勝手、機能等)

Image Line「Sakura」レビュー(使い勝手、機能等)

物理モデリング音源を前々から多く使用しているのですが、こちらも良さそうだったので導入してみました。

まずは基本情報から確認してみましょう。

さくらは、1つの弦の微妙な弾き、バイオリンの弓、グランドピアノの音の響きを再現できます。最も重要なのは、好奇心の強いミュージシャンがシミュレーションのあらゆる側面を制御して、素晴らしい楽器を作成できることです。20フィートのギターのサウンドを知りたいと思ったことはありませんか?それともお辞儀のピアノ?さて、Sakuraは文字列モデリングの可能性の世界を開きます。Sakuraデモをダウンロードして、自分で試してみてください。桜善泉がやってくるので、ぜひ体験してください。


  • 接触 -弦との機械的接触であるインパルスが最初に生成され、次に、むしり、ピック、擦り傷、ハンマー、タップ、または謙虚な指をシミュレートするように成形されます。
  • 振動-Sakuraのデュアルストリングモデルは、ダンピング、テンション、ポジショニング、ストリングプロパティなどの幅広いパラメーターをオペレーターが制御できるようにします。
  • ストリングの相互作用 –次に、相互作用をシミュレートするために、二重のストリングが混合、パン、エンベロープされます。
  • 共鳴 -弦の振動は、8共鳴体の「ボディシミュレーター」と相互作用して、楽器のサイズ、素材、形状を作成します。
  • 音響 -次に、仮想音響空間がコーラス、遅延、残響効果でシミュレートされます。


接触、振動、2本のストリングスの相互干渉、共鳴、音響といった物理現象に即して、UIが整理されています。そのため、パラメータは多いもののいじるべき場所は明快でわかりやすいです。


プリセットについて


弦をシュミレートする物理モデリング音源ですが、プリセットライブラリがかなり充実していて、弦楽器、ギターやベース、ハープ、ピアノ、トレーラー系、アトモスフィア、ベース、ドラムキック、パーカッション等様々なプリセットが用意されています。FXがあったりDnBのプリセットがあったり。

中でも、弦を擦るタイプと撥弦楽器の表現はかなりリアルです。本当に弦をはじいた感じがします。ピアノはエレピに近いサウンドですかね。やはり強いのは撥弦と擦弦という感じがします。バンジョーあたりの一連の撥弦楽器もすごくリアルなプリセット。

ハープとかヴァイオリン、チェロあたりもかなりリアル。同一のシンセサイザーでここまで多様な楽器ができてしまうのは不思議です。プリセットだけでも400近くありそれだけで価値があります。


楽器がたくさん入っている点ではAAS「Chromaphone2」にも似ていますが(あちらにもハープやピアノ等のモデリングプリセットがある)、こちらはより実際の楽器に近づけようとしている印象を受けます。

私的にはこちらの方がより現実の音に近い感じがします。「Chromaphone2」は素材となる波形の種類を選択したりとシンセサイザー的なアプローチが強い印象です。

プリセットもAASのようにクレイジーで個性的なものよりも使いやすそうな王道から大きくそれないサウンドが多い印象。
ワブルやエレクトロ系のサウンドも充実しています。現代よりのサウンドが大変充実していますが、それだけでなく、GM音源のような古そうな音も入っており、サウンドメイクの出発点が丁寧に用意されています。多様です。ちなみにパラメータをリセットするとSine波からサウンドメイクできます。マニアックな人も楽しめます。

他の物理モデリング音源と比較して


シンセサイザーとしても使えるだけでなく、生楽器のヴァーチャルインストルメントとしての使用も問題なくできそうなのでかなり幅広く使うことができる優れた音源です。流石にシンセサイズされているものなので、生楽器と並べたら波長等の周期から違いは分かるとは思いますが、聴いたらヴァイオリンだとわかるくらいにはリアルです。(使ったことのある人にしか伝わらないかもしれませんが、ベタ打ちでもGarritanの生ヴァイオリンかそれ以上の質は保ってます。)

ヴァイオリンの物理モデリング音源でいうとSwamシリーズがありますが、純粋に楽器を模倣するならば、Sakuraをあえて選ぶ必要はないかもしれません。あちらと異なり、ヴァイオリンを自分の好きな楽器に自在にリクリエイトできる点が優れています。リアルな楽器を作るイメージ。なおどちらも本物の楽器を完全に模倣するためには細かいオートメーションは必要です。

また、リアルタイムでLFOパラメータなどをいじればさらにリアルさが増すかもしれません。
どれも出音がしっかりしているので、EDMや迫力あるシネマティックトレーラーにも使えそうですね。物理モデリングといいながらもシンセサイザーとしての音色の多様性も備えています。

同じ弦楽器物理モデリングシンセである、AAS String Studioと比較すると出音がシャープで、よりリアルな楽器のイメージや素材感を活かしたモデリングをしている点が特徴だと思います。(そもそも、AASのString Studioは宣伝にもあるように、実際の楽器の模倣やシュミレートではなくクリエイティブなシンセサイザーとしてプッシュしています。音色になんらかの一ひねりがあります。あちらにはシーケンサーが搭載されていたりとシンセよりです)

そのため、リアルな楽器を作る上ではこちらの方がより使いやすいと思います。仮想の楽器がリアルに存在している感じがあります。恐らく大元の撥弦擦弦シュミレータの性質の違いかと思います。



サウンドメイクに関しては、弦の比率を変えたり、ネックの位置を変えたり、共振を調整したりできます。一画面集約なのであっちこっち行かなくても良い点も良い。LFO変調によるシンセ的なサウンドを作ることもできます。独創的なサウンドデザインもできます。
 

私的には物理モデリング音源の中でかなり汎用性があり、生楽器としてのシュミレートはもちろん、シンセサイザーとしても優秀なバランスの良い音源だと思いました。とても当たりです。

まとめ

パンチ、音の厚み   : ★★★★★
サウンドの質感、素材感: ★★★★★
聴きなれたサウンド  : ★★★★★
サウンドメイクの可能性: ★★★★★
使いどころの多さ:    ★★★★★  
機能の理解のしやすさ  :★★★☆☆(いじっていればわかってくるタイプ)
動作の軽さ       :★★★★☆(重くはないです)
コスパ         :★★★★★
プリセットのバラエティー:★★★★★
汎用性         :★★★★★

特徴:生楽器をシュミレートしたプリセットが多数、シンセサウンドからインストルメント、シネマティック、EDMまで様々な領域の音色をカバーしており、幅広い用途で使用可能、生々しいリアルな素材感を再現


おすすめできる人:自分のオリジナルの楽器をシュミレートしたい人、生楽器風のリアルなサウンドを使いたい人、生の素材感のあるシンセサウンドを求めている人

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